札幌商工会議所は6日、国の地方創生という好機を生かし、経済界の視点から札幌市が目指すべき方向性を示した提言「さっぽろ成長戦略」の中間まとめを、札幌市の秋元克広市長に提出した。冬季五輪招致を視野に創成川通や丘珠空港を機能強化することのほか、医療を切り口とした新たな産業集積形成などを提案。2025年度までに、市内総生産を実質で15年度水準から1・6兆円拡大することなどを目標に位置付けている。
13年11月に設立した「さっぽろ成長戦略特別委員会」(堰八義博委員長)がまとめたもの。
経済面、暮らし・文化から札幌の魅力を高め、国内外から投資を引き付けていくという趣旨で、「Sapporo引力」をコンセプトとした。国のまち・ひと・しごと創生総合戦略が定める4つの政策分野に沿って、道都にふさわしい街の魅力向上など8つの目指すべき姿を設定。さらに「都市インフラ」「産業政策」「人づくり」「生活・文化」4つの分野別に、10項目のプロジェクトを掲げている。
「都市インフラ」では、冬季五輪招致を視野に道内外への交通ネットワーク拡充として、都心アクセス道路の整備や丘珠空港の滑走路延長とアクセス改善を提起。都心再生に関して、北海道新幹線札幌開業に備えた駅前再整備、容積率拡大や高さ制限緩和による大通周辺地区の民間投資活発化を挙げた。人に優しいまち形成として、都心部の無雪化促進や地下歩行ネットワーク拡大、バリアフリー環境整備、環境先進街区の形成などを盛り込んでいる。
「産業政策」では再生医療や医療ツーリズム、機能性食品製造など医療を切り口とした新たな産業集積形成を目指す「Medical Cluster City Sapporo」を挙げたほか、域際収支を向上させるために1次産品をはじめとする道産素材、道内資源の高付加価値化と市場開拓促進に取り組むとした。
「人づくり」では技術・知識の伝承拠点化でリタイア人材の誘致による技術・知識の伝承を提唱。
「生活・文化」では、女性の活躍応援として利用しやすい保育所の拡充、冬季五輪など国際スポーツ大会・合宿の招致などを推進していく。
25年度までに、15年度に比べ人口で約1万人、雇用で約6万人、市内総生産で実質約1・6兆円(平均成長率2.1%)拡大という数値目標を設定している。
中間まとめの手交式には高向巌会頭、同委員会の堰八委員長と、副委員長を務める古野重幸、福山恵太郎、大谷喜一、武藤修の4氏が臨んだ。秋元市長に提言書を手渡した高向会頭は、「(札幌市が策定する)地方創生総合戦略や中期実施計画に反映してほしい」と要請。
これに対し秋元市長は、市が進めようとしている方向性と一致している部分が多いとし、「4年間の中期実施計画に盛り込み、行政だけではなくオール札幌で取り組んでいきたい」と協力を求めた。
確定版は秋にもまとまる見通しだ。