小樽開建は、管内の磯焼け対策を本格的に講じるための調査を開始した。ことし4月に発注した対策検討業務を皮切りに、向こう数カ年は年1件以上の関連調査業務を発注する見込み。昭和後期から顕著になった藻場の消滅を防ぎ、水産資源の減少を食い止める手段を模索していく。
同開建によれば、管内沿岸に自生するコンブなどが消滅して藻場がなくなり、これを餌とする生物が減少して漁獲量が減少する磯焼け問題は、1975年ごろから顕著になってきているという。
海水温の上昇、コンブを食べるウニの大量発生、生活排水の流出などさまざまな原因が考えられるが、明確な答えはまだ出ていない状況。地区ごとに原因が異なるという説もある。
漁業を主産業とする町村が多い後志地方にあって、対策は喫緊の課題。既に神恵内村では2010年から『神恵内藻場LANDプロジェクト』事業に取り組んでいる。
村内の赤石漁港沿岸を事業箇所に定め、食害を引き起こすウニが入り込まないよう海底にフェンスを設置。生分解性素材で作られた、コンブの胞子を放出するスポアバッグなどを考案し、開始から3カ年で3カ所、計3000m²の藻場を造成した。現在は維持管理期間に移行している。
同開建は、神恵内村のように独自で磯焼け対策に取り組む管内町村の意見を聞きながら、余市―島牧間を対象として、数カ年にわたって調査を続ける考え。
本年度は4月に管内大規模磯焼け対策検討業務を簡易型プロポーザル方式で発注。アルファ水工コンサルタンツが4750万円で落札した。藻場の現状を把握するため、沿岸の航空写真撮影、要所に流速計を設置しての水流調査、コンブの栄養となるリンや窒素の量計測などを進めている。
今後は、コンブが生えやすい試験礁の製作・設置にも取り組みたい意向。藻場にもなるような自然調和型の防波堤づくりも展望している。
担当者は「沖合の漁場の多くを管理しているのは北海道なので、調査結果を取りまとめることができれば、道や町村に適宜提供していきたい」と話している。