ゼネコン道内受注高、公共予算減で4-6月の上位50社計は14%減

2015年08月10日 19時21分

 北海道建設新聞社は、2015年度第1四半期(4―6月)のゼネコン道内受注高ランキングをまとめた。首位は99億円を受注した岩田地崎建設で、07年度同期以来8年ぶりに90億円台に乗せた。2位は大成建設が入り、3位は官庁土木が最高額の岩倉建設だった。上位50社の受注総額は1598億2300万円で、前年度同期を13.6%下回った。2年連続で増額だった公共事業予算の減額が影響し、07年度に調査の集計方法を暦年から年度に変更して以降、最高額を記録した前年度と受注環境が一転。官庁建築と土木が大きく落ち込む一方、民間建築が復調傾向を継続した。全258社の平均受注額は9億6000万円で、10億円に届かなかった。

 上位10社は、本州大手4社と準大手1社、道内5社の内訳。前年度同期に比べて1社が11位以下から上位に進出したが、顔触れは大きく変わっていない。

 首位の岩田地崎建設は前年度同期の8位から上昇。過去8年で最高額を記録した。第1四半期での首位は初めて。札幌北斗高改築Ⅰ期や仮称DCMホーマック倶知安店新築、北海商科大校舎2号館建設、緑誠会施設改修、札幌トヨタ自動車東苗穂店新築など民間建築がトップの71億円に上り、合計で100億円に迫った。官庁工事は南幌町民プール建設や札幌市の山本東地区Eブロック貯留施設造成1工区などがある。

 大成建設は73億5300万円を受注して前年度同期の9位から2位に入った。過去8年で見ると、07年度同期の94億円に次ぐ額を確保し、第1四半期としては最高順位となった。西の里恵仁会病院改築や道科学大中央棟新築などが主な工事だ。

 3位の岩倉建設は過去最高の順位。受注額は69億9400万円と前年度同期に及ばなかったが、官庁土木がトップとなり順位を押し上げた。厚真町富里地区浄水場・配水池建設や網走開建のウトロ漁港防波堤ケーソン製作のほか、札幌地家裁浦河支部庁舎新営や共同体サブで札幌市二条小改築を落札した。

 中山組は前年度同期の5位から4位につけた。受注額は69億9200万円と下回ったものの、クリーンリバーフィネス札幌ミッドステージのフロント、サウス両棟新築やニセコアルパインデベロップメンツ「ペンションチトセ」新築など民間建築が過去最高額だった。

 5位の鹿島は67億8400万円を受注した。住友金属鉱山の鴻之舞第8沈殿池安定化対策など大型工事を獲得し、民間土木が2位。北見脳神経・心血管内科病院新築なども請け負っている。

 戸田建設は前年度同期と同じ6位だった。民間土木が風力発電「ユーラス伊達黄金ウインドファーム」建設などでトップとなり、民間建築は道科学大旧校舎改修・解体などで、62億2300万円の受注額を確保した。

 宮坂建設工業は56億5900万円を受注して7位につけた。帯広郵便局模様替えなど民間建築を積極的に獲得。官庁土木は札幌開建の北島遊水地西8線周囲堤や同地盤改良、函館開建の函館江差道渡島大橋下部などを積み上げた。

 8位の清水建設は受注額51億6900万円で、うち民間建築が9割近くを占める。道文教大鶴岡記念講堂新築が主なところ。

 丸彦渡辺建設は51億5400万円で9位。円山公園第2駐車場立体化建築やダイハツ北海道販売PDIセンター新築など民間建築で強みを見せた。

 大林組は49億2700万円に伸ばし、前年度同期の18位から10位に入った。主な物件は恵仁会空知病院増築や旭川開建の当麻ダム洪水吐建設変更増などがある。

 11位以下を見ると、西村組が漁港改良など官庁土木の受注で前年度同期の102位から11位に躍進。12位の伊藤組土建は官庁建築がトップだった。

 このほかの道内企業は、玉川組が53位から28位、稲田組が131位から29位、北成建設が122位から39位と、51位以下から上昇。しかし、50位以内の道内企業は28社にとどまり、前年度同期の33社から減少した。

 分野ごとの上位5社は、官庁土木が①岩倉建設②道路工業③西村組④植村建設⑤松本組、民間土木が①戸田建設②鹿島③前田建設工業④日本道路⑤熊谷組、官庁建築が①伊藤組土建②岩倉建設③丸彦渡辺建設④橋本川島コーポレーション⑤荒井建設、民間建築が①岩田地崎建設②大成建設③中山組④清水建設⑤宮坂建設工業―となっている。

 50社の受注総額は1598億2305万2000円で前年度同期を13.6%、251億円下回った。過去8年で最高額を記録した前年度同期から一転し、リーマンショック前の08年度同期の水準に戻った。

 総額の内訳は、官庁が32.1%減の517億570万7000円、民間が0.7%減の1081億1734万5000円。比率は官庁の32.3%に対し、民間が67.7%。官庁の減額が著しく、前年度同期に比べて8.9ポイント後退した。

 安倍政権の誕生後、2年連続で15カ月予算を編成し、官庁工事を主体に地域経済の再生を図ってきたが、14年度補正予算は大幅に減額。さらに、統一地方選による自治体の骨格予算編成もあり、公共事業量が急減した。半面、アベノミクス効果で民間企業の設備投資は回復基調にあり、建築、土木合わせて受注額は2年連続で1000億円台に乗った。

 土木の合計は22.5%減の644億8533万8000円で、官庁が28.3%減の402億3395万3000円、民間が10.4%減の242億5138万5000円の内訳。建築の合計は6.3%減の953億3771万4000円で、官庁が42.8%減の114億7175万4000円、民間が2.6%増の838億6596万円となっている。

 51位以下を含む1社当たりの平均受注額は前年度同期を17.2%、2億円下回り、13年度から2年連続で記録した11億円台は途切れた。


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