建設業への女性の進出を促すために北海道建設業協会などが組織した、北海道建設産業女性活躍推進協議会が9月から本格的な活動を始める。建設会社で働く女性技術者や技能者の現状を把握するとともに、女性の積極的な進出を後押しし、より快適な職場づくりを提唱するシンポジウムの開催などを予定している。
将来の建設業を担う人材として、全国的に女性への関心が集まっている。建設業の役割や誇りをPRしながら逸材を掘り起こし、女性を含め若年者や高齢者ら誰もが働きやすい魅力ある職場環境の創出が必要となっている。
同協議会は7月に設立した。事務局を務める道建協をはじめ、建設産業専門団体北海道地区連合会と北海道商工会議所連合会、北海道建設業信用保証、道、札幌市で組織。北海道開発局と北海道労働局がオブザーバーとなっている。
産官連携による同協議会の取り組みは、国土交通省が女性の入職と定着を支援する助成制度に認定し、9月から本格始動する。全国で先進的な活動を展開する12団体が選ばれた。
道建協は1月下旬、会員企業に勤める女性技術者20人を集め、女性建設技術者の活躍研究会を開催。女性が働く上で直面する困惑や悩みを議論した。最近では、札幌市などのように工事受注者へ専用トイレや更衣室の設置を支援する発注機関が現れている。
しかし、根本的な課題は結婚や出産、育児などを経て働き続けられる環境づくりだ。研究会の参加者からは「スキルアップして現場を任せられる人材になりたい」「女性ならではの特性を生かして働き続けたい」「出産、子育てが一段落したら復帰したい」などと提起した。
同協議会はこの議論を引き継ぎ、道内全ての建設業者を対象に、女性の技術者と技能者の人数や処遇などを知る実態調査に乗り出す。現状を正確に把握し、女性を確保して育成するために必要な雇用環境の改善に役立てる。
さらには、建設業のイメージアップ戦略や快適で働きがいのある職場づくりを探るため、女性技術者と技能者が参加して講演を聞いたり、意見交換をするシンポジウムの開催を予定している。
国交省の助成制度は1年限定だが、道建協では「女性技術者や技能者によるネットワーク組織ができれば、活動が活発になり、相乗効果が生まれるのではないか」と期待している。