室蘭市は、2018年春に予定している岩手県宮古市へのフェリー航路就航に向け、室蘭港フェリーターミナルビルの改修方法を15年度中に検討する。ビルは約7年にわたり使われていない状態で老朽化が著しいことから、屋上、外壁、各種設備を診断し、改修の必要性や費用などを調査。工事が必要と判明すれば、16年度設計、17年度施工という流れを描いている。
現施設は1994年度に完成。当時航路を運行していた東日本フェリーが整備した施設で、規模はS造、3階、延べ3728m²。室蘭港から国内各港への船の玄関口として活躍したが、08年度に最後まで残った青森航路が廃止になった。
その後、ターミナルビルは別会社が管理していたものの、再活用は難航。その後11年度に市が無償で引き継いだが、イベントで一時的に活用する程度にとどまり、ほとんど使われていない状態が続いている。維持費の負担は市の悩みの種にもなっていた。
ところがことし3月に川崎近海汽船が、18年春に岩手県宮古港との航路を開設する方針を発表。本来の用途として再活用を図るため、市は屋上、外壁、各種設備などの診断や、改修費用を調査するための経費1296万円を、15年度3定補正案に盛り込んだ。可決後速やかに発注し、年度内に終える意向。
詳しいスケジュールは調査の中で固めるが、航路開設に向けそれまでに設計、工事を進める。市は「雨漏りが発生しているほか、配管、電気関連などの老朽化が著しい。川崎近海汽船側からエスカレーター設置などの要望もあるため、大規模な内容になるのでは」と話している。