札幌市の企業立地促進補助、10~14年度で99件-15年度も好調

2015年08月26日 19時16分

 札幌市が2010―14年度に交付した企業立地促進関連補助は、立地ベースで99件に上っている。このうちコールセンターや本社機能を含むバックオフィスなどの立地に対する補助が39件と最も多かった。15年度は企業の地方移転を促す国の地方拠点強化税制が創設されたことから、企業誘致には追い風となりそうだ。

 市が企業立地促進で設けている補助制度は「コールセンター・バックオフィス立地促進補助金」「IT・コンテンツ・バイオ立地促進補助金」「札幌圏設備投資促進補助金」の3つ。

 補助制度別実績は、コールセンターやバックオフィス、本社機能などの新増設に当たり、新規雇用者の人件費を助成するコールセンター・バックオフィス立地促進補助金が新設24件、増設15件の計39件。東日本大震災の翌12年度以降に増加が見られる。14年に完成した札幌三井JPビルディングへ本社機能を移したアクサ生命保険も、この補助を活用した。

 情報通信や、バイオなどの技術を活用する事業の人件費、開設費、研修費などを対象としたIT・コンテンツ・バイオ立地促進補助金では、新設32件、移転・増設1件の計33件に補助している。10年度の2件から、4件、6件、8件、12件と毎年度増加。人手不足を背景に、開発拠点を地方に移す動きが活発化しているとみられる。

 14年度に旧「ものづくり産業立地促進補助金(設備投資型)」と旧「札幌圏みらいづくり産業立地促進補助金」を統合した「札幌圏設備投資促進補助金」は、新設8件、増設19件の計27件。2つの旧補助金はいずれも、工業団地など特定の用途地域に限定していた従来の補助要件を、13年度に準工業地域へも拡大したことから、今後の利用拡大が期待されている。

 こうした補助の効果を後押しするのが、改正地域再生法の成立を受けて創設された地方拠点強化税制。東京23区に本社がある法人が、本社機能を地方に移す場合などに税制優遇措置を受けられるもので、人材不足や東日本大震災以降のリスク分散への対応が進む中、企業誘致にとってはプラス材料になる。

 経済局も「地方創生の流れを受け、企業誘致に弾みを付けたい」とし、東京事務所を拠点に企業誘致をさらに推進する考えだ。

 15年度は、7月末現時点でITやコールセンター関係が9件進出。利用した補助金の内訳は、コールセンター・バックオフィス立地促進が5件、IT・コンテンツ・バイオ立地促進が3件、札幌圏設備投資促進が1件となっている。


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