国土交通省北海道局は27日、2016年度北海道開発予算の概算要求を公表した。一般公共事業費に当たる開発事業費は、国費で前年度当初比16.7%増の6201億円、事業費で16.9%増の7640億円を要求。優先課題推進枠を活用して高規格幹線道路や農水産基盤整備、社会資本の老朽化対策などに1400億円を上積みした。農業農村整備や、新千歳空港で新たな誘導路整備の関連経費を盛り込んだ空港などで高い伸び率となっている。(28日付1面に概算要求総括表を掲載)
道局は①人が輝く地域社会の形成②世界に目を向けた産業の振興③強靱(きょうじん)で持続可能な国土の形成―の3項目を16年度予算の概算要求重点事項に設定。16年度から始まる第8期北海道総合開発計画の推進に必要な要求額を計上した。
事業別に見ると、道路は地域間の連携や都市へのアクセス向上、災害時の代替ルートの確保などに向け、未開通区間の整備を図る。16年度の開通を目指す道横断自動車道小利別―訓子府間と旭川・紋別自動車道丸瀬布―瀬戸瀬間で、供用に向けた工事を推進する。
治水は、石狩川や沙流川など過去に大規模な水害に見舞われた河川を中心に災害対策を強化。石狩川流域では千歳川遊水地群や北村遊水地を重点化する。直轄ダムは幾春別川総合開発、沙流川総合開発、サンルダムの3事業に157億円余りを計上した。
農業は競争力強化と国土強靱化の観点で関連予算を重点化。農地の大区画化や老朽化した農業水利施設の更新などの事業を盛り込んだ。水産基盤整備では水産物の輸出強化を目指し、各地の漁港で屋根付き岸壁などを整備する。
港湾と空港の優先課題推進枠は、国交省が京浜港や阪神港、羽田空港や成田空港などの大都市圏に配分したことなどから開発事業費は未計上。ただ、空港は国際線の受け入れ体制の強化などに関する事業を盛り込んだため、45.4%増の大幅な増額要求となった。
新千歳空港で国際線の駐機場拡張と滑走路の南側に向かう新たな誘導の誘導路に着工。駐機場は国際線ターミナルビルの増築に合わせて2―3機分となる見通しで、20年度までに完成させる計画だ。港湾は国際バルク戦略港湾に指定されている釧路港に重点配分する。
アイヌ施策は、政府が20年度の供用を目指す民族共生の象徴となる空間の整備で、国立の民族共生公園の設計や遺骨保管施設建設に向けた調査などを進める。国営公園などを含めた予算は40.4%増の2億9200万円とした。
また、将来の開発事業を検討するための基礎調査となる北海道開発計画調査等経費を見ると、農水産物の生産分野と食品加工産業が連携して、地域に食品加工工場の立地を目指す仕組みづくりなどについて調査する。