「技術者育成に課題」-札幌市が増加見通しの下水管工事でアンケート

2015年09月11日 19時07分

 札幌市建設局下水道施設部は、市の下水道工事入札参加資格を持つ業者を対象に実施した、下水道改築基本方針に関するアンケート結果をまとめた。今後の業務について、業者間では技術者育成や事業見通しの不透明さを課題に挙げる業者が多いほか、整備の主流として位置付けている管更生の施工可能業者数が少数にとどまっていることが分かった。

 調査は、1回目として3月に2013、14年度の入札参加資格を持つ市内業者のうち、12―14年度に工事を受注した上、14年度に緊急修繕を施工した198社を対象に実施。7月には1回目の対象外となった業者から役務などで下水道管路施設清掃等、産業廃棄物収集運搬・処分を扱う13社を加え、計211社を調査した。

 内訳はA1が23社、A2が26社、Bが139社、Cが23社。このうちA1で13社、A2で15社、Bで80社、Cで6社が回答している。

 質問は、大きく分けて維持管理・管路保全業務と管更生工事の2分類。今後の入札参加を「希望する」は66社、「希望しない」は45社。希望者のうち、実際に参加しているのは46社、参加していないのは20社だった。

 希望するのに参加していない理由は「業務内容が不明」「代表資格を有してない」「設備投資ができていない」など。希望しない理由は「事業量の見通しが不明」「将来性が見込めない」「専門性が強く、既にすみ分けされている」などの声があった。

 今後必要と考える事項は「技術者の育成・確保」「JVの代表者資格を有する協力会社との連携」「資機材設備投資」が多数。これらに付随して、安定した事業量確保や発注見通しの公表、参加要件緩和、エリアごとの受注といった要望も寄せられた。

 改築方針の中で、整備の主流に位置付けている管更生工事に関しては、114社中8割が自社での施工は不可能と回答。このうち、今後の工事参加見通しについても「分からない」「参加しない」が各3割、「参加する」が4割という結果で、参加意思がある企業でも約9割は、元請けとして受注するが更生工事は下請けに任せる意向であることが分かった。

 「参加しない」「分からない」と答えた理由を見ると、設備投資ができないという意見が7割を占める。

 工事受注に向けた今後の必要事項としては、業務と同じく技術者の育成が最も多く、資機材設備投資、各種工法協会への加盟などと続く。要望としては安定した発注と事業見通し、実績などの参加要件緩和、設計変更への柔軟な対応などが多く寄せられている。

 下水道改築基本方針では、管更生を中心とした本管整備の事業量を16年度から徐々に増やし、5年後には年間30㌔、36年度以降は年間60㌔とする目標を打ち出しているが、現段階では業界側でこの事業量に対応できない状況がある。

 市は発注者として、工事参加業者の拡大の必要性を認識。発注方法の見直しを検討している。また、年度内に策定する次期中期経営プランの説明会も予定。「今後の事業量増大に対応するため、業界と意見を交わし、意見をできる限り反映していきたい」と、業界側と情報共有を図りながら将来に備える考えだ。


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