道は16日、2015年7月1日時点の道内基準地価を発表した。林地を除く調査地点全体の平均変動率はマイナス2.0%で、1992年度以降24年連続の下落となったものの、下落幅は5年連続で縮小。上昇地点は前年の73地点から86地点に増えた。マンション用地に対する需要の高まりから札幌市内で上昇傾向が続いたほか、帯広市や釧路市といった主要都市で底打ち感が出始めている。
国土利用計画法に基づく基準地価は、1月1日時点で国が調査する公示地価と併せ、一般の土地取引指標として活用されている。今回の道内調査地点は林地を除き1102点で、うち住宅地は807地点、商業地は271地点。
1m²当たりの平均価格を見ると、住宅地が1万8000円で、平均変動率はマイナス1.9%と18年連続で下落。ただ下落幅は0.2ポイント縮まった。商業地はマイナス2.1%の5万8900円で24年連続の下落だが、下落幅は0.7ポイント縮小。全体の平均価格は2万7900円で、1983年の水準となった。
前年から上昇したのは、住宅地が5増の53地点、商業地が8増の33地点。横ばいは全用途で16増の231地点に拡大し、下落は33減の771地点にとどまった。
上昇率が最も高いのは、住宅地が7.9%の札幌市中央区宮ケ丘2丁目。人気が高い円山公園近くの良好な住宅地として安定した需要を反映した。2位は中央区北4条西26丁目、3位は豊平区美園7条1丁目。上位10位は全て札幌市内で、1位から7位までが5―7%台と高い上昇率を示した。札幌市の上昇率は1.4%に拡大。地下鉄駅沿線での上昇が目立っている。
札幌市以外では、収益物件など投資需要の高まりで倶知安町が3.6%上昇したほか、北広島市、浜中町、別海町、中標津町の計5地点で上がった。北海道新幹線の開業が間近に迫った函館市は下落率が縮小し、横ばいが3地点あった。旭川市や帯広市、釧路市でも横ばい地点が増えていて、地価下落の縮小傾向が顕著となっている。
商業地は、札幌市中央区大通西18丁目が7.5%と最も高い上昇率。地下鉄駅近郊で容積率を最大限生かせるマンション用地に対する需要が高まり、上昇につながった。2位は北区麻生町4丁目、3位は中央区大通西10丁目。
調査を担当した不動産鑑定士の斎藤武也氏は「経済情勢は1月時点より今の方が上」とし、「建築費高騰の影響も改善しており、造って早く売ろうという需要が出ている」と指摘する。
札幌以外では、6月にオープンした商業施設「フラノマルシェ2」がある富良野市幸町が5.1%の上昇。旧市街地にある倶知安町の商業地はリゾート地域の影響を受けて4.2%上がった。
一方、下落率が全道一となったのは住宅地、商業地とも古平町。住宅地はマイナス9.1%で全国7位、商業地はマイナス9.8%で全国1位となった。人口減少や、昨年破綻した水産加工業協同組合の影響が主な要因とみられる。
このほか、経済情勢と連動しやすい工業地が比較的堅調だった。上昇地点こそなかったが、横ばいが5から7地点に増えた。千歳市では分譲価格を3割値下げしたことで工場立地が増え、マイナス2.8%から同1.4%に回復。室蘭市も企業進出があり、マイナス4.7%から同3.0%に縮小した。設備投資に対する企業マインドに回復の兆しが見えてきた。