コンクリート圧送協組が4週6休導入へ-来年4月から札幌と近郊で

2015年10月06日 19時19分

 北海道コンクリート圧送協同組合(道圧送協組)は2016年4月から、札幌市とその近郊地域で4週6休の週休2日制を導入する。技能者の労働条件改善や若手確保につなげる。これに合わせ標準料金体系を見直し、基本料金の圧送数量を70m³から50m³に改正することで、休暇拡充への対応や技能者の待遇改善に向けた財源確保を図る。

 圧送ポンプ車を現場に配送し、重量のあるホースを支え生コンを打設する圧送技能者は肉体的、環境的に仕事内容が厳しい。1年以内の離職率が8割といわれる若手定着率の低さが課題で、高齢化が進展している。

 札幌地区では、札幌生コンクリート協同組合が来年1月から第2、第4の隔週土曜を休みとする週休2日制の導入を決めている。道圧送協組は、これに足並みをそろえる形で技能者定着の課題の一つだった、休暇制度の改善に踏み切る。

 札幌・近郊地区で4週6休制を進め、生コン供給者側の動向を見ながら段階的な拡充、対象エリアの拡大を検討していく。

 一方、課題の一つとなる技能者の労働条件や待遇改善を図るため標準料金体系を見直す。基本料金の単位数量を引き下げることで、休暇拡充への対応や給与改善の財源確保など経営基盤強化を図る。

 別途、今冬から防寒対策に経費が掛かり技能者作業が過酷な冬季の割増別途料金の導入を検討し、冬季の作業環境改善につなげていく。

 全国団体の全国コンクリート圧送事業団体連合会が4―7月に実施した会員調査によると、加盟各社の年齢構成は10―20代が2割弱にとどまり、40歳以上が約6割を占める。1年以内の離職率は8割以上と定着率が低く、将来の担い手確保は全国的な課題となっている。

 週休2日制の導入は全国的な流れで北海道以外にも、東日本大震災からの復興が進む東北地区の一部や、大阪地区で週休2日導入の動きがある。

 ただ、生コン打設は現場が全休の日曜日を養生に充てるため、土曜日に打設を求める現場も多く導入に元請けの理解が欠かせない。休暇拡充による稼働低下を補う対策も必要だ。全圧連は国土交通省や元請け団体が推進する週休2日制導入の動きを追い風に、啓発活動を進めるという。

 高齢の技能者割合が拡大する中、事業継続には人材確保と技能伝承が不可欠になる。道圧送協組の原口一雄理事長は「定着を高めるため、頑張れば先は明るい希望ある業界づくりが必要」と強調。「10年、15年先を見据えた作業の標準化や教育を進め、安定した業界運営につなげたい」と条件改正に理解を求めている。


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