北海道建設業協会は、建設技能労働者の不足が深刻化する専門工事業者へのアンケート結果をまとめた。人材不足が原因で「工事が遅れている」との弊害を指摘したり、受注競争の激化がもたらす賃金低下や離職という悪循環を懸念する意見が相次いだ。人材の確保や定着に向けて、安定的な工事量を平準化して発注し、若手が人生設計を描けるようなビジョンの確立を求めている。
技能者の確保・育成を支援する道建協が専門工事業者の現状を知るため、型枠や鉄筋、とび・土工、左官など9職種の団体を対象にアンケートを実施。若手技能者の不足が顕在化する中、効果的な取り組みの検討と、専門工事団体や行政機関などとの連携で解決策を探るのに役立てる。
人手不足の現状を尋ねたところ、「若年者への技能継承が進んでいない」「当初の工程より遅れている」「高齢化が進み、退職者が増加していく」など、さまざまな弊害が生じている実情が浮き彫りとなった。
国や道など発注機関に求める人材確保の取り組みについては、安定的な工事量の確保と工事が集中しないよう、発注の平準化を求める意見が目立った。
特に人手不足が進行する契機となった競争激化の再来を懸念し、「安値発注から安値受注、賃金低下、生活不安、離職」を生む悪循環を断ち切るよう苦言を呈した。疲弊する地方に配慮し「地元業者に出す仕事を多くしてもらいたい」との意見もあった。
道建協への要望としては「若年技術者の育成研究会」設立や、教育研修などに利用できる各種助成制度の説明会開催を求めた。景気や季節的な工事の需給変化には理解を示しながらも「平均的な年収は40歳代で500万円以上は必要」と提起。「若い人材が夢を描ける業界ビジョンがほしい」と訴えている。
人材確保・育成に関して自由意見を求めると、ある団体は「保護者から『建設業は子どもにさせたくない仕事』と言われた。収入が安定せず、土日も作業をしているからだ」と理由を記した。その上で「建設産業が国民の生命と財産を守り、豊かな生活を支える重要な産業であるために領域を超えて連携しなければ、将来はない」と提言した。