北海道建設業信用保証は21日、2015年第3四半期(7―9月)道内建設業景況調査の結果を発表した。地元建設業界の景気を示す業況等の景気判断指数(BSI値)はマイナス26。4期連続のマイナスとなり、政権交代前だった12年の水準に戻った。来期(10―12月)の業況等BSI値は、補正予算編成への期待から若干上向く予想だが、景気の乱高下に建設業界は大きく揺さぶられている。
北保証が道内建設業者を対象に四半期に一度実施している景況アンケート。9月に土木、建築、土木建築、設備業を対象に調査し、計253社から回答を得た。回答率は90.7%。BSI値は「良い」と回答した企業割合から「悪い」と回答した企業割合を引いた数値。
業況等BSI値は13年第2四半期(4―6月)からプラスに転じたものの、公共工事量の減少と予算消化の早さから14年第4四半期(10―12月)にマイナスに転じた。今期のマイナス26は、14期前となる12年第1四半期(1―3月)と同水準の低調ぶり。吉田義一社長は「補正予算の繰り越し額が急激に減少した影響」と分析している。
受注総額BSI値を見ると、官庁工事がマイナス27で著しく落ち込んでいる。過去5年では10年第4四半期のマイナス29に次ぐ。民間工事はマイナス10で低空飛行が続く。
受注環境の変化から収益BSI値もマイナス17と伸び悩み、5期前にマイナスに転じて以来、最大の下げ幅を記録した。資金繰りは厳しい傾向が継続し、建設労働者の賃金は上昇傾向が弱まっている。
半面、建設労働者の確保は困難傾向が弱まり、資材の調達も容易傾向が続いている。資材価格は上昇傾向が収まった。
来期は、業況等がマイナス24と悪い傾向は続くものの、やや回復する見通し。吉田社長は「政権交代前とは労務単価の引き上げなどで受注環境が変わり、補正予算の編成によって公共事業の下げ止まりに期待しているのではないか」とみている。
受注の減少はやや弱まる見通しだが、収益の減少と労働者確保の困難、資金繰りの厳しさは強まると予想する。
経営上の問題点は「受注の減少」が72%で最多。これに「人手不足」「従業員の高齢化」が続く。「競争の激化」は4番目に後退し、「公共工事品質確保促進法の改正が過度のダンピングを防いでいるのでは」(吉田社長)と施策の効果を挙げている。