学生にリアルな建築知識を-道科学大で住宅建築の模擬演習

2015年10月30日 19時30分

 学生に「リアル」な建築の知識を伝えたい―。内池建設(本社・室蘭)は、道科学大の3年生を対象にした住宅建築の模擬演習プロジェクトをスタートさせた。住宅建築の工程表を作成し、出来上がった作品を専門工事業者が審査し、優れた作品を決める。作業を通して建設業の仕事への理解を深めてもらうとともに、就職先の選択にも役立ててほしい考えだ。

 このプロジェクトは、2014年に道科学大との連携で企画。ことしで2回目となる。前回と同様、内池建設社員のアドバイスの下、住宅建設の工程表を1カ月かけて作り上げる。

 同社の協力会社である専門工事業者も、資材卸、電気工事、防水、空調設備、鉄筋業など23社が参画している。学生にメールなどで助言を与えるとともに、12月3日の2回目の会合で工程表の出来栄えを採点。優れた作品を表彰する。

 29日に開いた1回目の会合であいさつした内池秀敏社長は、単位取得の対象外にもかかわらず参加した学生に対し「素晴らしい意欲」と評価。その上で、①業界関係者と接して現実の建築を学ぶ②就活を前に職業観を養う③中小企業のことを知ってほしい―の3つの目的を説明した。

 大学側の担当者としてプロジェクトを支える伊藤敏幸教授は「大学での学習は設計などが主体。しかし、住宅建設では多様な専門工事業者との連携が必要となることを知り、交流を深めてもらえれば」と期待している。

 今回は学生20人が参加。5人ずつ4つのグループに分かれ、それぞれ「HUS(道科学大の略称)ホーム」「高橋組」など架空の建設業者の名前を付けた。

 内池建設社員から工程表の説明を受けた後、専門工事業者と対面。住宅を造る上で重要となる各業者の業務内容や作業手順などを聞き取り熱心にメモを取る姿が見られた。

 互いの自己紹介では、学生は「知らない事ばかりだが、皆さんに助言をもらいながら良いものを作り上げたい」「さまざまな専門工事業者と交流できるのを楽しみにしている」などと期待を膨らませた。業者側も分からないことは気軽に聞いてほしいと伝え、「将来的には就職先として当社を考えてくれれば」とアピールしていた。

 業者側として初めて参加した浅海電気(本社・大阪)札幌支店の佐藤尚侍営業部長は「専門工事業の仕事はあまり知られていない。将来的に仕事で関わることも考えられ、自社をアピールする良い機会になる」と話す。

 昨年に参加した学生が内池建設に就職を決めたケースもあるなど成果が得られている。学生側にとっても、就職活動を前に仕事のイメージを膨らませられる貴重な体験となりそうだ。


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