都心と空港のアクセス強化が投資判断の鍵―。札幌市は2015年度中の改定を目指す都心まちづくり計画に関連して、投資対象としての札幌の課題を探る目的で資産運用会社などに意向把握調査を実施したところ、都心と空港のアクセス性の弱さを指摘する意見が多かったことを明らかにした。「都心のまちづくりが経済成長を下支えする」との観点から同計画に位置付けているアクセス強化の重要性を、投資家の視点から裏付けた形だ。
意向調査は、不動産関連資産運用会社2社と政府系ファンド、外資系資産運用会社の各1社に対し、昨年12月に聞き取りで実施。
その結果、各社とも投資を呼び込む上でのポイントとして空港と都心のアクセスや、ホテルなどのビジネス環境を重視。中には「福岡と比較すると空港アクセスの差が大きい」「富裕層・ビジネス客が泊まりたいと思えるホテルがない」「(民間投資を喚起する上で)ニセコを中心としたリゾートへのハブになることをもっと考えるべき」といった指摘もあった。
今後の不動産投資では、環境性能の高いグリーンビルディングやリノベーション、コンバージョンに関心を寄せていることが分かった。
市はこのほどまとめた同計画素案で、都心まちづくりの方向性に関して都心部と高速道路のアクセス強化を盛り込んだ。JR札幌駅周辺や大通公園、創成川公園を含む「都心強化先導エリア」を対象に、北海道新幹線や高速道路へのアクセスを考慮した交通結節機能強化を掲げている。
一方、札幌商工会議所を中心とする地元経済界は、都心アクセス道路の整備を長年熱望。これを受け市は15年度、アクセス道路とされる創成川通の機能強化に向け、札幌新道交差点から北3条通交差点まで約4㌔区間の検討調査をドーコンに委託した。
交通面のほかまちづくり、観光、物流、医療、防災などの観点から機能強化策をまとめる方針で、高架化や交差点改良、トンネル化などを含む複数の整備形態を比較検討する。トンネルになれば事業費は最大1000億円に上るとみられる。
都心アクセス道路について、秋元克広市長は「世界の中で都市間競争に勝っていくため重要」との認識を示している。