道は海外投資の誘致を本格化する。海外での誘致セミナーを年度内に初めて開き、3つの国と地域で投資先としての本道の魅力をアピールする。外国人来道者の急増により不足するホテルや、食関連工場などの受け入れを想定。海外の経営ノウハウや人材、資金を取り込み、本道を舞台として世界を相手に稼ぐビジネスモデルの構築を目指す。こうした道の施策による海外からの投資件数目標として、2016―19年度の4年間で12件を設定している。
観光、食、工業系製造業、IT関連を受け入れ分野に想定し、海外資本の日本法人による道内への2次投資も対象とする。道の取り組みとしてはこれまで、外国企業から道内市町村への投資受け入れに関する問い合わせ対応マニュアルの作成などにとどまっていた。
15年度は日本貿易振興機構(ジェトロ)の協力を得て、本道に最も多くの観光客らが訪れている台湾で、海外投資誘致セミナーを12月に開く。本道の投資環境をアピールするほか、道内市町村や道内に進出している台湾企業のプレゼンテーションなどを通じて、魅力を発信する。
このほか16年1月には、道が年度内にASEAN地域の経済交流拠点として事務所を開設するシンガポールと、近年経済成長が著しいタイで同様のセミナーを開く予定だ。
道が10月に決定した北海道創生総合戦略では、重点戦略プロジェクトの一つに「輝く『アジアのHOKKAIDO』創造プロジェクト」を設定。人口減少に伴う域内需要減に対応するため、アジアの成長力を着実に取り込み国際競争力の高い北海道を創造するとし、プロジェクトの進ちょくを判断する指標として、16―19年度で12件の海外からの投資を目指すとした。外国資本によるホテルの建設や食関連工場の立地、データセンターの整備などを期待している。
政府は、12年に17兆8000億円だった対日直接投資残高を20年には倍近くの35兆円に増やす目標を定めている。高橋はるみ知事は、道産食品輸出額1000億円と外国人来道者数300万人を4期目の公約に掲げていて、道は海外投資の誘致による外国企業の経営ノウハウ取り込みなどで公約の達成を目指す。
経済部国際経済室は「北海道ブランドの影響で、海外は良いイメージを持っている。トップセールスを含め、クールHOKKAIDOと連携して、海外に投資先としての北海道を売り込む」と話している。