一二三北路が「仮想現実」で難工事現場をシミュレーション

2015年11月13日 19時13分

 一二三北路(本社・札幌)は、現場作業員の安全教育を目的に、札幌市南区で施工中の現場へ仮想現実(VR)による現場シミュレーションシステムを導入した。初めての工事内容で難工事が予想される中、「安全のためにできることは全て取り入れたかった」と熊谷一男社長。作業従事者の経験にかかわらず危険をイメージできるという効果があり、着工以来継続している無事故無災害の一助となっている。

 導入した現場は札幌市水道局から受注した、豊平川水道水源水質保全水管橋新設。豊平川流域にあるヒ素やホウ素を含んだ自然湧水を導水管で迂回させ、安全な水を確保しようという取り組みの一環。南区定山渓温泉東1丁目で豊平川を横断する必要があるため、水管橋をことし2月から2016年3月の1年間で施工する。

 同社にとっても初めての工事で、重量が200㌧にも上る20㌧づりクレーンを崖の上に設置する必要もあり、難工事が予想された。

 熊谷社長は「初めての工法も採用し、不安の連続。安全に工事を進めるため、事前のシミュレーションの重要性を感じていた」と話す。しかし、従来の平面図や3D描画ソフトによる俯瞰では臨場感に欠けるという課題があった。

 そこで着目したのが、3次元空間に自分がいるかのような疑似体験ができる、米国Oculus VR社のゴーグル型映像装置「オキュラスリフト」。岩崎(本社・札幌)に依頼し、既存の3次元データを活用して空間モデルを製作してもらった。土木工事での活用は国内でも珍しいという。

 空間内を自由に歩いて、構造物の形状を確認できる。足場を踏み外すと川に落下するなど、身をもって危険を感じられる。新たな工程に入る時や、新しく現場に入った作業員に対して安全教育を実施する際に活用している。

 「危険を映像で体験できるため作業員の熟練度にかかわらずイメージがつきやすい。他の工種の作業内容も知れるというメリットもある」と現場代理人の坂下淳一土木工事部工事課長。その効果は、現在まで無事故無災害という成果として表れている。

 新たな取り組みとあって札幌市もPRに乗り出しており、現場見学も盛んだ。地元町内会や小学生などが多数訪れたほか、11日には発注者である札幌市水道局職員が市建設局職員と合同の見学会を開いた。

 坂下課長は「平面図や3D図だけでは、専門家以外から理解を得るのは難しかった」と振り返る。同日体験した水道局職員からは「土木工事の作業内容を詳しく知ることができ、理解促進やイメージアップにつながるのでは」との声が聞かれた。

 現場の規模などによって導入コストが変わるので、今後別な現場に導入するかは決めていないが、熊谷社長は効果を実感。ソフトの発展で利活用が容易になり、普及が進むことが期待される。


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