札幌林友会が進路指導教諭を対象に合同就職説明会を開いたのは6月下旬。札幌市内を中心に近郊の工業高や普通高5校から7人が参加した。会員企業の中から、とび・土工と型枠、鉄筋、クレーン、防水、塗装、内装、重機土工の8職種10社が自社をプレゼンテーションした。
大林組札幌支店が協力し、建築工事を施工する上で重要な役割を担う専門工事の仕事内容、会社の社歴や業績を紹介するパンフレットを作り、会場も提供した。各社の担当者が5分間で自社をPRし、専門工事を理解してもらうよう努めた。
その結果、型枠の光工業(本社・札幌)に2人、とび・土工の鈴久名建設(同)と内装のミツヤ(同)に各1人の計4人が就職を希望し、来春入社することが内定した。光工業の佐藤光男社長は「型枠の認知度が低く、どれほど求人を出しても見向きもされなかった。大林組の後ろ盾に感謝する」と話す。
大林組ブランドが後押ししただけでなく、説明会で各社は教諭からの「生徒は友人と遊ぶことができる休日をつくってくれる会社を優先する。年収や月給はどれくらいなのか」という質問に対し、週休2日制の導入や相場以上の初任給などできる限りの誠意を示した。
林友会は本社や支店など全国に11ある。合同就職説明会は名古屋林友会が先行して14年度に実施し、予想以上の効果を挙げたことから、15年度は2回目の名古屋のほか札幌と東北、北陸、九州が企画。「技能者の魅力を高校生に知ってもらうなら、まずは先生に納得してもらうことが大切」(鈴久名会長)という発想が奏功した格好だ。
札幌林友会は今回、札幌圏の28校に打診したが、16年度は全道の高校に対象を広めるつもりだ。今回の成果は来年2月12日に開く総会で発表する。
鈴久名会長は「若手の確保は時間をかけて取り組む問題だ。新卒者の入社に明るい兆しが出てきたが、今度は定着してもらう努力が求められる。良好な人間関係を保ち、好循環を築き上げていきたい」と抱負を語る。
大林組は、林友会の会員企業に入社して2年目以降の技能者を対象に2―3カ月の教育訓練を実施し、入社後の支援も充実させている。同社は11年度に全国で初めて特別手当を支給するスーパー職長制度を創設するなど人材不足対策を進めている。