現場事務所を災害支援基地に-森川組が独自に取り組み

2015年12月07日 19時29分

 地域に根差す建設業が、地域の安全安心を守り抜く―。森川組(本社・函館)は同社独自の取り組みとして、災害発生時に現場事務所周辺を支援する災害支援基地(DRB)ネットワークの構築を始めた。道南各地から選定した現場事務所に被災住民に配る非常食や応急処置用の資材を配備し、迅速な対応につなげる。趣旨に賛同する業者が現れれば、協力してネットワークを拡大する考えだ。

 DRBはDisaster Relief Baseの略。同社は7月に、函館開建から函館新外環状道路函館市滝沢改良を受注。現場周辺がたびたび大雨で浸水する状況を知り、地域により密着することで建設業への理解と親しみを深めてもらおうと、10月に活動を始めた。

 道南地域の受注現場から、地域性や工事期間、規模を勘案し、DRB指定事業所を選定。現場ごとに300人程度の支援を想定し、パンの缶詰や常備水、保存用ビスケット、応急処置資材にブルーシートや土のう、トラロープ、応急手当てのためマスクや包帯などを備蓄する。地域住民には、町内会や現場の看板、旗などを通じ周知する。

 現在は本社を含む函館市内3カ所、木古内町内1カ所、せたな町内1カ所、奥尻町内1カ所に配備。工期終了でDRB指定は解除されるが、新たに工事を受注するごとに指定を検討し、道南全体で偏りなくDRBを配置する意向だ。

 国、道、市などと結ぶ災害協定とは別の取り組みで、官庁や消防などが実施する災害時の救援活動に支障がないよう配慮する。

 森川基嗣社長は「道南に根差し育まれてきた建設業として、地域の安全安心を担う責任を積極的に果たしたい」と話し、活動周知による業界全体のイメージアップも期待。事業スタートに携わった原浩之工事部長は「身近な地域が災害に苦しんでいるとき、タイムリーに支援できる取り組み。地域住民にとって、現場が身近な存在になれば」と意欲を示している。


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