札幌市は最短で2026年招致を目指す冬季五輪の選手村などを対象に、「水素タウン」実現に向けた検討に乗り出す。16年度から2カ年でコンセプトをまとめる方針。関連業務となるエネルギー需要予測などの基礎調査を6月にもプロポーザル方式で外注する考えだ。
水素エネルギーで電力などを賄う水素タウンの創出は、昨年公表したまちづくり戦略ビジョン・アクションプラン2015(中期実施計画)に、「次世代型エネルギータウン検討事業」として盛り込んでいる。原発に頼らない低炭素社会の実現を目指すことが狙い。
他都市では20年に東京五輪を開く東京都が晴海に建設する選手村で水素タウンを整備。水素を供給するステーションを建設し、パイプラインで宿泊棟や運動施設などへ送る仕組みで、各施設に設置する燃料電池から電気や熱を生み出し、電力、暖房・給湯に活用する。
札幌の場合、これには及ばないものの、ノウハウを参考にしながら水素を中心とした札幌にふさわしい再生可能エネルギーの組み合わせを構築し、「超低炭素なエリアを作る」(市長政策室)考えだ。
五輪招致をめぐって市は3月までに開催概要計画を策定する。いまのところ選手村の候補地には札幌ドーム周辺を考えており、終了後はスポーツパーク、宿泊施設、住宅、展示・商業施設などとしての活用を想定している。
2カ年で取り組む水素タウンコンセプトづくりの予算額は約1100万円。18年度以降、水素を活用した先駆的エリアの形成を検討していく。