凍害点検を超音波で-寒地土研が実証、コア抜き取り大幅削減

2016年01月25日 19時18分

 寒地土木研究所は、コンクリート表面近くに生じた劣化層の厚さを超音波で推定する表面走査法の理論に着目し、凍害の点検技術に応用して劣化判定する技術を、道内の道路橋6橋72カ所で実証した。従来のコア採取調査よりも、コアの抜き取り箇所数を大幅に絞り込むことができる効果を確認。調査後に必要な孔の補修件数も減るため調査費用を縮減できるほか、調査時の構造物に対するダメージを最小化する機能を立証した。

 水の凍結融解によるひび割れや凍結防止剤の影響などで起こる、積雪寒冷地の課題となっている凍害の診断に関しては、劣化部のコンクリートコアを採取して調べるのが一般的。コアの抜き取り作業は、凍害の程度が大きい部位を選ぶことが望ましいが、採取する場所によっては結果が変わる場合があるため、劣化程度の大小にかかわらず広範囲に多くのコア採取作業を行い、多くのコストや労力、時間を要してきた。

 そこで同研究所は、日常的な管理の範囲で、凍害の程度を非破壊で推定できる点検技術の立証に向け、実験・調査した。コア採取が難しかったダムの壁面、農業用水路などでの活用が進んでいる走査法は、医師が患者の体に当てて検診する聴診器のように調査対象となるコンクリート表面に発・受振子を当て超音波で調べる診断プログラム。コンクリート内部の劣化深さ、度合いを推定できる。

 システムは一般的な耐凍害性の目安となる、相対動弾性係数の真値がある領域を9割以上の精度で、安全に評価できるといい、コンクリート表面から10cmまでの範囲で診断する。同技術を用いた外部からの事前調査によって、詳細調査が必要な場所以外でのコア採取を不要とし、調査で生じるコンクリート構造物への損傷も最小限に抑えることが可能だ。

 走査法による調査費の縮減効果は芦別、美幌、白糠など凍害の進展が疑われる6道路橋の72カ所で検証した。調査した場所によって細かな成果は異なるものの、従来技術だと合計72孔ものコア採取が必要なところを、走査法によってコンクリート表面近傍の品質を推定して、33孔に絞り込むことができた。

 解析プログラムに要する診断時間も短く安全性を確保しながら、作業効率を向上する効果が確認できた。コア抜きの箇所数が半分以下に削減できたため孔の修繕費も減り、約4割のコストを削減できる可能性を示している。


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