釧路建管は標津、別海両町内で進めている野付崎海岸海岸浸食対策の事業計画を変更した。事業期間内に低気圧や台風による浸食被害をたびたび受けたため、防護延長を広げて消波堤整備を倍の4㌔にするなど見直した。事業期間は2028年度までに延長。総事業費は102億円に増やした。今後はモニタリング調査の結果に基づき、浸食被害が著しい箇所を優先的に整備する方針だ。
根室沿岸の中間に位置する同海岸は国内最大の砂嘴(さし)地形。背後の湿原を含め、海岸域の多様な生態系や景観など良好な自然環境を有している。さらに、ホタテやホッカイシマエビなど漁業や観光などの場としても重要な役割を担っている。
1998年の台風5号による浸水被害や01年の低気圧に伴う海岸決壊により、砂浜の浸食や植生の減少が進んだことから、同建管は02年度、海岸浸食対策に着手した。防護延長1万2705mのうち突堤32基、消波堤2138mの整備に総事業費49億円を投じる計画で、15年度末までに突堤26基、消波堤1388mの整備を終える。
しかし、06、09年の波浪により浸食が進み、13年には越波による漁業関連施設や道路の浸水被害が発生したため、計画の見直しに迫られた。14年度からモニタリング調査を進めた。
これを踏まえ、防護延長を砂嘴地形の外海側全域にわたる2万1130mに広げ、突堤38基、消波堤4013mに変更した。工事費は突堤45億1000万円、消波堤43億200万円で、このほか測量設計費に13億7500万円、用地補償費に1300万円を見込んでいる。
25年度までに突堤12基、28年度までに消波堤2625mを整備する計画だ。