旭川市総務部の2016年度工事発注は、前年度に続き、厳しい受注競争で幕を開けた。22日に開札したゼロ市債の道路工事28件には延べ798社が応札、うち22件がくじ引きで落札した。一方、15年度に実施した最低制限価格の設定基準見直し効果から、低価格の落札は3件と大幅に減少。くじ引きによる落札制限も働き、1社で複数工事を受注するといった事態は起きなかった。
22日は、道路改良15件、側溝整備14件を開札。このうち入札番号26番の東光3条2・3丁目間2号線改良は、設計図書に誤りがあったため中止となった。平均落札率は88.7%で、前年度よりも1.5ポイント下落した。
新年度の滑り出しとなるため、各社とも受注意欲は旺盛。全28件の工事の応札者数は延べ798社で、入札番号2番の永山町10丁目5号線改良には42社が参加した。そのほか40社前後が札入れした工事は6件あった。
発注を担当する土木部は3月、施工パッケージ型積算の導入や資材単価公表に踏み切った。今回は、制度変更を適用して初めての入札となったことから、事業者側の対応にも注目が集まった。
各社の入札金額は数百円単位の僅差となり、28件中22件がくじ引きで落札。最低制限価格を下回ったことによる失格は延べ165社となり、制度変更の過渡期による影響も一部に表れた。
一方、設計金額2000万円未満の工事で最低制限価格を調査基準価格に固定するなど、低入札抑制に向けた施策は一定の効果を見せた。
さらに、くじ引きで落札した事業者が同日同工種のその他入札で抽選対象となった場合、失格として取り扱う「落札制限」は156社に当てはまり、1社で複数工事を受注する偏りは起きなかった。
入札に参加した事業者からは「施工パッケージ型に対応するため、通常の倍の時間をかけて慎重に積算した」「受注機会が広がったのはありがたい」「落札率88%は正直苦しい」「くじ引き頼みでは事業の見通しが立てられない。せめて、地域雇用に貢献している企業を優遇してほしい」と悲喜こもごもの声が上がっている。