美深町は、チョウザメ養殖研究施設の拡充を計画している。町有地を含む約8・7haの敷地を使い、養殖設備や研究施設などを新設する。北大水産学部や美深振興公社など産官学連携による地方創生の一環事業。2016年度は地方創生加速化交付金で措置した7910万円を充て、設計や用地取得などを進め、17年度の着工を目指す。
旧恩根内小のプールを活用した養殖場がチョウザメの成長に伴い手狭となったため拡充する。建設候補地は、辺渓地区に確保する8万7491m²の敷地。うち約2haは町有地で、このほか民有地や国有地が混在する。
水槽は、稚魚用(長辺100m、短辺3m、深さ1m)1基と、成長した親魚用(長辺100m、短辺6m、深さ1m)2基を予定。それぞれ円筒状の設備を想定している。併せて、研究施設や水路、浄化設備なども整備する。
16年度は施設の実施設計と用地測量、小水力発電導入に向けた調査に取り組み、17年度に施工する。完成後もチョウザメのふ化や成長を観察しながら適宜拡充していく見通しだ。
また、16年度は町内の遊休施設2カ所の改修も予定。一つは現在稼働を停止している民間の養殖場で、改修費を補助して再稼働を図る。もう一つは、社会福祉法人が運営していた旧福祉施設を活用し、北大生ら研究関係者の宿泊場所を確保する。
町内では、びふか温泉など一部でキャビアや肉を食材として提供しているが、安定した供給と商品化はこれからの課題。総務課では「チョウザメの研究は未知数。水温や水質などを調査しながら、早く、大きく、確実に育つ好条件を探っていきたい」と話している。