熊本県を中心に16日にマグニチュード7・3の本震が発生した。強い前震と余震が相次ぎ、熊本県によると42人が死亡し、重軽傷者は1000人以上に上っている。北海道開発局はTEC―FORCE(緊急災害対策派遣隊)の派遣を決め、道内自治体も緊急支援物資の提供など準備を進めている。カナモト(本社・札幌)は、九州のグループ企業3社と連携して復旧に必要な資機材の安定供給体制を構築した。
熊本県によると18日午前9時半現在で、600を超える避難所に約10万5000人が避難。行方不明者9人の捜索活動が続く中、負傷者の生存率が急激に低下する発生から72時間が近づいている。気象庁は今後1週間で、最大震度6程度の地震が発生する恐れがあるとして注意を呼び掛けている。
安否の確認が取れない人の捜索は、土砂崩れが起きて6人と連絡が取れない南阿蘇村の河陽地区、宿泊施設で40代の男女2人が行方不明になっている長野地区を中心に進められている。河陽地区では、道路を広げるなどして新たに重機を使えるようになった。村によると、不明者は男性5人、女性3人、性別不明1人。
熊本県によると、道路が寸断されるなど交通事情が悪く、支援物資が十分に行き渡らない所もあり、病人や高齢者など災害弱者の心身のケアも課題となる。
熊本県内で判明している家屋被害は全壊約400棟、半壊約1200棟。被害の大きい益城町や南阿蘇村などは調査できておらず、損壊棟数は大幅に増える見通しだ。
開発局は18日午後5時に災害応援対策本部を設置。19日に3班体制で先遣隊と道路の被災状況を確認する調査班の計15人を送り込む。
道は、一般住民からの救援物資受け入れを熊本県が見合わせているため、道内からは受け付けていない。道の応援は熊本県に災害対策都道府県連絡本部を設置した全国知事会を通じ、物資や職員の要請があれば、早急に対応できるよう準備を進めている。
苫小牧市危機管理室によると、「現地では救援物資の不足が深刻化しているが、対応が進んでいない」と話す。同市が保有する非常用の米や粉ミルク、紙オムツなどの物資を現地に送り込みたいと考えているものの「道路網が寸断され、輸送する手段がない。市民からも物資を送りたいと相談が来ているが手立てがない」という。
一方、グループ企業3社がレンタル事業を展開するカナモトは16日、ニシケン(本社・福岡)に、九州地区地震対策本部を立ち上げた。カナモトを含む4社が連携し、復旧に必要な資機材の安定供給体制を整える。
グループは九州最大手のニシケンのほか、九州建産(同・福岡)、第一機械産業(同・鹿児島県鹿屋)の3社が、九州地区で建設機械レンタル事業を展開している。
被害の大きい熊本県内にはニシケン2カ所、九州建産1カ所の営業拠点を置く。各社社員は無事で「積み上げていた機材が崩れたりといった被害はあるが、建物は健在」だという。
対策本部では現在、被災状況の把握や情報収集を急いでいる。本部長は4月1日付で、カナモトからニシケンに出向している長崎学社長が就いた。長崎社長は東日本大震災で対応経験を持つ。
熊本周辺各県には3社が複数の拠点を置き、カナテックの仮設ユニットハウスやトイレの製造拠点がある。これらを生かし「九州3社とカナモトのネットワークで必要機材を被災地に移動させるなど、安定した資機材供給に努めていく」(社長室)考えだ。