北海道開発局はICT技術を活用した除雪機械の運用を目指す官民連携組織を2016年度に立ち上げる。人工衛星を利用した位置情報や民間の自動運転技術を使い、将来は除雪車両の自動運転にこぎ着けたい考えだ。夏ごろまで準備会を開き、今後の進め方や組織の役割などについて議論を始める。
19日の会見で本田幸一開発局長が明らかにした。本田局長は「国道の除雪現場では、暴風雪時に早期の通行止め解除が求められていたり、オペレーターの高齢化による担い手不足などの課題を抱えている」と指摘。国土交通省が提唱するi―Constructionの一環で、ICT技術を活用して除雪作業の生産性向上を目指すとした。
具体的には、自動運転による省力化やオペレーターの育成期間の短縮、吹雪で視界が悪くても作業ができるなどの効果が期待できる。
自動運転をめぐっては、自動車メーカーだけでなく電機業界、IT業界が研究開発に力を入れている。また、米国の全地球測位システム(GPS)を補完する日本の準天頂衛星が19年度までに4基体制となることから、研究開発が加速するとみられていて、こうした民間企業からの協力も視野に入れている。
組織は、開発局のほか除雪機械や電機・通信の各企業、維持除雪を請け負う建設会社、学識経験者、寒地土木研究所などが集まるプラットホームを立ち上げ、新たな除雪技術の開発や普及に取り組む。16年度からスタートした新たな北海道総合開発計画には、地域の課題解決に向け、行政だけでなく、民間企業や地域経済界など多様な関係者が組織する重層的なプラットホームの形成が重要と明記されている。