札幌市管工事業協同組合(佐藤安幸理事長)は、工事書類の簡素化に向け、独自の取り組みを続けている。組合員にとって大きな発注元である札幌市水道局にも協力を得ながら、ことし3月には、取り組みの成果として暫定的な様式をまとめた。
同協組が目指しているのは、書類の内容整理による総量削減と統一様式による労力削減。500万円未満の工事で試行する。
技術委員会の北森正明委員長は「組合員には中小企業が多く、人手も足りない。一方、工事の大小にかかわらず提出書類量は変わらない。少しでも負担を減らしたかった」と話す。
水道局によれば、そもそも500万円未満の少額工事には提出書類の要領がない。「提出内容は社内の先輩から引き継がれ、各社で様式がばらばら。工事ごとの指示もあり、書類量はむしろ増える傾向にあった」と指摘するのは、簡素化に当たった青年部の臼谷和弘副会長。
水道局の助言を求めながら、臼谷副会長のほか渡会裕俊理事、鈴木敏仁さん高橋潤一さんといった青年部のメンバーが中心となり、これまで網羅的に提出していた資料を整理。端的な文章や見やすいレイアウトに努め、重複を避けた。
一部の書類に関しては、統一様式も作成。リンク張り付け機能などを駆使し、会社名や工事名、工事番号など何度も入力するものは一度の入力で自動的に各書類に反映できるようにした。
ことし3月、十数回に上る協議を経たメンバーの手には、従来の半分以下となる書類があった。各社の提出書類はいわば内部文書で、「社外に持ち出したくない会社の方が多く、サンプルを集めるのが大変だった」そうだが、それでも4人は毎日の仕事が終わった後に集まり、貴重なサンプルから「いいとこどり」して成果をまとめた。
今後は様式を組合員に配布し、使用後の感想を集めてさらに改良しながら、水道局へも簡素化への理解と協力を求めていく方針。メンバーは将来的には500万円以上の工事にも適用されるような内容に、と意欲をのぞかせ、「こうした負担軽減が、代理人になりたいという人の助けになれば」と後輩育成にも目を向ける。
北森委員長は「今は未完成で組合内でしか使えない状態だが、完成すれば広く公開していきたい」と話している。