井出組倒産の衝撃-夕張の活性化支えた老舗失う

2016年04月25日 19時21分

 井出組(本社・夕張)が3月31日に事業を停止した。1918年創業と市内に拠点を置く建設業者の中でも老舗で、沢田宏一会長は夕張商工会議所の会頭を務めるなど、まちづくりにも深く関わっていた。地域に根差し、地域の活性化に取り組んできた企業の倒産はどのように受け止められたのか。建設業界や商工会など関係団体の声から、今後の影響などについて探った。

 夕張建設業協会の氏家孝治会長は、財政破綻の影響を受けながらも、長年会員として貢献してきた仲間を失ったこともあり、「残念」と神妙な面持ちで話す。今回の結果に至った原因の一つには公共工事の受注量減少があると分析。業界全体が厳しい環境に置かれているとし、「共存共栄はもちろんだが、国や道、市の発注量は多くない。どこも明日はわが身と思っているのではないか」と危機感をあらわにする。

 同社は林道・治山工事、河川改修などを請け負う土木工事業者で、直近では札幌建管発注の夕張長沼線局改や栗沢南幌線外局改などを受注。完工高の推移を見ると、2005年度は5億2764万3000円だったが、06年度以降は3億円台に。14、15年度は約4億9000万円と持ち直していた。

 一方で、夕張を地元とする一企業としてまちづくりにも携わっていた。事業停止により1日付で会頭職を辞任したが、沢田会長は04年から商工会議所の会頭として活躍。また、息子である沢田直矢社長は、ゆうばり国際ファンタスティック映画祭の運営において中心的な役割を果たし、地域を盛り上げていた。氏家会長は沢田社長を「同世代の中でもリーダー的な存在だった」と評する。

 商工会議所の小網敏男専務理事も「夕張では老舗の企業だった」と話し、驚きを隠せない様子。商工会議所にはさまざまな業種の企業が加盟しているが、建設業も含め経営環境は厳しく、過去には倒産した企業もある。小網専務理事は「各社同じような状況だが、身の丈にあった企業経営をしてもらいたい」と市内業者の行く末を心配する。

 発注者である夕張市建設農林課の細川孝司課長は、雇用の場が減ったことについても心配しており、他産業も含めて倒産が相次げば、さらなる人口減を招くと懸念する。しかし、土木に限らず発注量を増やすことは難しく「財政的に厳しい」のが現状だという。

 また、同社は請け負っていなかったが、市内に拠点を置く建設業の減少は除雪にも影響する。積雪の多い夕張市には建設業による除雪が不可欠であり、細川課長も今後の不安材料の一つに挙げている。

 沢田会長が会頭として取り組んできたことについて「市が財政破綻し、商工会議所も市からの補助がなくなり苦しい状態だった。その中でも何かを見いだそうとしていた」と話すのは、市まちづくり企画室の佐藤学主幹だ。沢田社長もイベントなどを通して人材育成に携わっていたと振り返り、「2人がやってきたことを周囲の人が続けないとならない」とまちづくりを担い、主導していく人材の必要性を指摘する。

 財政破綻から10年を迎えた夕張市に衝撃を与える出来事となった井出組の倒産。課題も浮き彫りとなったが、地域活性化に向け負の連鎖が続かないよう、堅実な経営や同業者同士の連携、行政との協力など、建設業者だけではなく市内の産業全体の動向が注目される。


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