白老町で市街地活性化の動き本格化-民族共生空間整備に合わせ

2016年05月11日 19時21分

 白老町内で2020年に開設される、民族共生の象徴となる空間(象徴空間)整備に合わせて、市街地活性化に向けた動きが本格化している。北海道建築士会苫小牧支部は4月下旬、町道拡幅や駐車場整備などを盛り込んだまちづくり提案書を町に提出した。一方、町は道路をはじめとするハード整備の方向性を含む、市街地活性化調査検討業務を5月中にも発注する。

 象徴空間をめぐっては、今春から仮称・国立のアイヌ文化博物館の基本設計がスタート。博物館と一体的に整備する仮称・国立の民族共生公園についても、このほど基本計画が公表され、設計業務は6月の契約締結が予定されている。

 道建築士会苫小牧支部は、象徴空間開設をまちづくりの契機にしようと北村啓支部長ら有志13人が集まり、15年12月からまち歩きや10回にわたる会合を経て提案書をまとめた。

 内容は多岐にわたり、象徴空間周辺で20年までに取り組むべきこととして、象徴空間へのアクセスルートとなる町道の中央通、公園通やJR踏切部分の拡幅、歩道整備を提案。年間100万人を目標とする来場者に対応するため、大型バス待機場(98台分、9670m²)、一般車両駐車場(315台、1万1160m²)が必要としている。

 また、象徴空間の南側に観光案内施設や小規模な飲食店(6店舗程度)、土産・民芸品店(8店舗程度)をサテライト的に設け、町内に点在する既存の飲食店などへ誘導。

 象徴空間の整備に伴い移転が必要となっているポロト温泉は、自然景観に溶け込むよう2階建て以下の低層の建物とし、修学旅行など大人数の食事にも対応できる、大規模飲食施設を併設することなどを求めている。

 提案書は4月26日に戸田安彦町長に提出。象徴空間開設に向けた、外部からの具体的な提案は今回が初めて。

 一方、町が発注する市街地活性化調査検討は、現状を踏まえ、町内回遊ネットワークや市街地整備のコンセプト・目標、ゾーニング、道路や飲食店、土産店、温泉施設といった象徴空間関連の整備の在り方などを絞り込んでいくもの。

 ハード関連の課題は複数あり、例えば建築士会の提案にもあった踏切付近では、JR白老駅に列車が停車していると遮断機が下りたままになってしまうほか、大型商業施設が面しているため出入りの車両による渋滞の発生も懸念されている。

 業務は、都市計画などを手掛けるコンサルを対象とした指名競争で発注する方針で、今後指名通知し、月内に入札執行する予定だ。

 業務期間は17年3月までだが、所管する建設課では「項目によっては今秋ごろまでに内容を固め、17年度予算に反映させるものも出てくるだろう」と話している。


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