ミャンマーから道内建設会社初の実習生-空調などの施工技術学ぶ

2016年07月07日 19時17分

 ヤブシタ(本社・札幌)は、ミャンマー人の外国人技能実習生3人の受け入れを始めた。「日本の技術を同国の発展に」と、3年にわたり日本の空調関連の施工技能を伝える。経済的な結び付きを強める東南アジアと日本や北海道の企業をつなぐ、中核人材に成長してほしいとの期待を込め、日々熱のこもった指導を展開している。

 技能実習制度に基づき3人を送り出す東京中小企業海外業務開発促進協同組合によると、ミャンマー人が道内の建設会社で実習するのは初という。

 実習生はチョウチョウさん(33)、ダンセンさん(26)、サンリンさん(25)の3人。4月から3年間、家庭用やビル・店舗用の空調エアコン、冷蔵・冷凍機器や太陽光発電関連の施工技術を学ぶ。

 高い水準の技能を身に付け、将来の成功を勝ち取ろうという期待は大きい。「日本は技術でトップ」と話すチョウチョウさんは、現場文化の施工前準備「段取り」に感銘を覚えた。

 東南アジア諸国で勤務経験のあるダンセンさんは「世界に通用する日本の技術は本国の成功につながる」と期待。サンリンさんは「社員に家族のような団結心がある」と、社風にも感心した様子だ。

 ことしは日本語や文化を学びながら家庭用エアコンを中心に、現場実習や社内研修を繰り返す。辻雅彦冷熱システム事業部営業部工事課担当課長は「一人で施工を完結できるレベルを目指す。現場管理やCAD図面作製まで一気通貫で伝えたい」と丁寧な指導を心掛ける。

 仕事の後は社員一同、家族のような付き合いでねぎらう。森忠裕社長は「言葉の壁はあるがミャンマーの人は優秀で一生懸命。技能とともにヤブシタの考え方を学んでもらえれば」と見守る。

 受け入れの背景には職人不足がある。森社長は「国内では人材の確保が困難で、このままでは技能継承が途絶え、技術力が低下する」と感じていた。そこで就労意欲の高い東南アジアの人材に技能の伝承先を求めた。制度上、実習後は帰国する必要があるが、3人が成功すれば続く人は増え、実習後の就労で日本を選ぶ人も出てくると考えている。

 高い技能を持つ海外人材は今後のビジネスパートナーにもなる。国内の建設市場は再開発需要や民間設備投資が活況だが、森社長はピークを東京五輪が開かれる2020年度と予想。既に大手ゼネコンは東南アジアに進出し、機器メーカーは省エネを武器に市場開拓に動いている。

 この動きを注視するヤブシタも、東南アジア進出のタイミングをうかがう。その時が来れば「拠点を担う人材に」と期待する。


関連キーワード: 人材育成 企業

ヘッドライン

ヘッドライン一覧 全て読むRSS

  • 川崎建設
  • 東宏
  • 北海道水替事業協同組合

お知らせ

閲覧数ランキング(直近1ヶ月)

藻岩高敷地に新設校 27年春開校へ
2022年02月21日 (3,219)
おとなの養生訓 第245回 「乳糖不耐症」 原因を...
2023年01月11日 (1,511)
交通体系整備を考える会、札幌外周高速道を構想
2023年06月20日 (1,429)
ヒトデ由来成分でカラス対策 建設業界に鳥類忌避塗料...
2019年06月28日 (1,379)
おとなの養生訓 第43回「食事と入浴」 「風呂」が...
2014年04月11日 (1,354)

連載・特集

英語ページスタート

construct-hokkaido

連載 おとなの養生訓

おとなの養生訓
第258回「体温上昇と発熱」。病気による発熱と熱中症のうつ熱の見分けは困難。医師の判断を仰ぎましょう。

連載 本間純子
いつもの暮らし便

本間純子 いつもの暮らし便
第34回「1日2470個のご飯粒」。食品ロスについて考えてみましょう。

連載 行政書士
池田玲菜の見た世界

行政書士池田玲菜の見た世界
第32回「読解力と認知特性」。特性に合った方法で伝えれば、コミュニケーション環境が飛躍的に向上するかもしれません。