斉藤砂利工業(本社・幕別)は、経済産業省による「攻めのIT経営中小企業百選」に選定され、表彰を受けた。砂利採取作業、埋め戻し進ちょく状況、堆積場の在庫、重機や設備の稼働状況といった情報をクラウドを活用してスマートフォンなどで閲覧できるシステムを構築。「リアルタイムの情報を把握することで経営判断のスピードが上がる」と斉藤悟郎社長は話す。
攻めのIT経営中小企業百選は、ITによる経営革新を進めている企業を2014―16年度の3カ年で100社選ぶ取り組み。6月9日、東京で表彰式が行われた。
同社は1947年創業。幕別町の軍岡と相川にプラントを持つ。社員数は40人。平均年齢は55歳で、ほとんどの社員はパソコンが使えないという。
30年にわたってオフィスコンピューター(旧型の事務処理専用コンピューター)で販売管理などを行っていたが、会計事務所から米国・セールスフォースドットコム製のクラウドソフト「セールスフォース」を勧められ、13年7月に導入した。
斉藤社長は「景気や公共事業の動向に左右されがちで、繁忙期と閑散期の差も著しい。安定的な経営が難しく、何とかしたかった」とその理由を話す。
セールスフォースは、業務形態に応じてユーザー自身が機能をカスタマイズできるのが特長。同社では原石搬入量や砂利集荷数量などプラントや原石場の状況、日報、出荷履歴を含む顧客情報、車両の運行状況やメンテナンス記録といった機能を盛り込んだ。総務・経理、原材料調達、骨材生産、骨材輸送という分散した部門の情報を一元管理する。社内SNSも用意。納入予定の工事現場の作業が雨天で中止になったといったような情報も瞬時に共有できるため、効率的な配車が可能になる。
「現場に行かなくても進ちょく状況が分かるので次の対策を立てやすい。社員も各自の作業内容をスマートフォンなどで見ているので、自分たちは何ができるかを考える習慣が付くようになった」と斉藤社長は〝見える化〟の効果を説明する。
「無駄を省き、時間を有効に使うことが生産性の向上につながる」とも。この5年間で売上高は1・4倍になったという。
「情報を共有する効果の分かりやすい例は天気予報。昔は経験と勘に頼っていたが、今は誰もがスマートフォンのアプリで確認してリアルタイムで判断できる」と話す。