北海道財務局は7月の管内経済情勢報告で、道内景気を「緩やかに回復しつつある」とし、4期連続で判断を据え置いた。個別項目では、住宅建設だけが、低金利の影響などで持ち家、貸家の着工戸数が増えているため判断を上方修正した。
前回の4月判断から直近までの動向をまとめた。原田要暢局長は総括判断を据え置いた理由として、「北海道新幹線の開業効果で道南を中心に観光が好調なほか、雇用情勢も着実に改善している」と説明した。
項目別では、住宅建設がマイナス金利政策により、不動産投資や土地取得の動きが活発化し、貸家や持ち家の着工戸数が伸びているため、判断を「緩やかに持ち直している」に上方修正した。
一方、設備投資は、製造業の「自動車・同付属品」「食料品」などで前年度を下回っているほか、非製造業も「運輸業、郵便業」「リース業」などで抑制的な投資となっているため「2016年度は前年度を下回る計画」に下方修正している。ほかの項目はいずれも据え置いた。
観光は、マレーシアや韓国などからの観光客を中心に前年を上回っており、温泉・リゾート地では好調を維持。生産活動は、新ラインの本格稼働や工場新設などで「輸送機械」と「窯業・土石製品」が順調なものの、「一般機械」が大型案件の受注減などにより弱い動きとなっている。
公共事業は「前年を上回る」と判断。前払い金保証請負金額を見ると、第1四半期は国や道、市町村、独立行政法人で前年を上回っている。
道内景気の先行きについては、雇用・所得環境の改善や北海道新幹線の開業効果などで消費が喚起され、景気回復が期待されると説明。ただ、海外景気の下振れなど、道内経済を下押しするリスクに留意する必要があるとしている。