国土交通省がi―Construction施策で、工事のドローン活用や経費計上を認める方向性を打ち出したことが追い風になり、関心が急速に高まっている。
模索が進んでいたドローンの工事活用は、空撮や空撮写真で作成した3Dモデルで工事を設計、施工、管理するコンストラクション・インフォメーション・モデリング(CIM)運用が主流。3D化にはデータ処理が不可欠で、その代表格がオートデスク社のCADソフト「Civil 3D」、画像から3Dモデルを作成する「ReCap360」、モデルを統合活用する「Navisworks」だ。
大塚商会札幌支店では、これらの統合パッケージ販売が「6月末段階で昨年の約10倍くらいに達している」(荘司真弓札幌技術グループアプリケーションエンジニア)と好調な売れ行き。
この背景には「乗り遅れてはいけないという意識が表れている」とみる。切り口としてドローンに関心を持つ企業が多く、要請に応じ、導入支援を進めている。
岩崎では、昨年から建設や農業向けにドローンの販売、導入支援を本格化する一方、ドローンを使った空撮やデータ処理の業務受託が可能な体制を整えてきた。
担当の企画調査部は「昨年は月1回だった相談は毎日。成約も週1以上に増えている」(金子和真課長代理)と説明。空撮を含め業務の受託が増え、空撮は業務スケジュールが混み合い始めているといい、オペレーター増員など体制強化に踏み切り、ニーズ対応を図っている。
比較的操作が簡単なドローンだが、企業が自前で運用するには改正航空法の知識や体制整備、運用者の訓練をはじめ、基材やソフトに一定の投資が必要だ。
機体は1機数十万円から数百万円と幅広く、精度を求めれば相応の価格が求められる。このほかソフト、専用パソコンなど運用機材で一式約200万円ほど掛かる。
ただ公共工事へのドローン活用は、国土地理院のマニュアルに沿って高精度な3Dモデル作成が要求されるため、「説明段階で導入から外注に選択を変える企業も増えている」(岩崎)。受託費は岩崎の場合で空撮、データ処理を含め、1日40ha当たり100万円前後。
販売、外注市場をにらみドローン専門企業や建設コンサル、設計支援業の参入も活発で、関連市場は引き続き成長が見込まれる。