北海道銀行は2016年度の道内新設住宅着工戸数について、前年度実績を3.4%上回る3万5501戸を見込んでいる。低金利の影響で貸家の投資マインドが高く、持ち家も消費税増税を意識した駆け込みで着工戸数を伸ばすと予測。ただ、夏場以降は地価上昇や駆け込み効果の落ち込みなどで、増加テンポは鈍化すると分析している。
先行指標となる4、5月の着工戸数は、前年同期より17.4%増加した。用途別では持ち家と分譲戸建て、貸家がそれぞれ増えた。中でも貸家は、改正相続税法施行に伴う相続税対策としての投資ニーズの高まりから着工戸数が23.8%増え、全体を押し上げている。分譲マンションはやや弱い動きとなった。
先行きについては、消費税増税を見据えて年度初めに計画した着工が夏場までにピークを迎えると予測。消費税増税の延期を受け、供給事業者のマインドが慎重化し、年度後半の着工戸数の伸びは鈍化するとみる。16年度は持ち家が0.7%増の1万980戸、貸家が6.1%増の2万722戸、分譲マンションが1.6%減の1793戸、分譲戸建てが1.7%減の1750戸を見込む。
持ち家は、ローン金利の低水準の持続や消費税増税を意識した駆け込みなどにより、年度前半は増加するものの、少しずつ効果は薄れ年度後半は鈍化すると指摘。貸家は金融から不動産への投資意欲の高まりを受け、3年連続での増加となり2万戸台の回復を見込む。しかし今後は、供給過剰感が次第に意識され始めるため、徐々に鈍化するとみる。
分譲マンションは、供給量が高い札幌市内中心部で、土地調達コストや建築費の上昇により販売価格が高騰し、完成在庫が増加しつつある。こうしたことから、デベロッパーは新規供給を大幅に増加するという考えにはならない環境にあるため、着工数は前年度実績を下回るとする。