釧路市が大型旅客船対応の専用岸壁整備へ検討本格化

2016年09月08日 19時21分

 釧路市は、釧路川河口右岸の釧路港東港区中央ふ頭西側岸壁で、大型旅客船やフェリーなどが就航する専用岸壁としての整備に向けて検討を本格的に始める。8日の定例市議会で、蝦名大也市長は「旅客船は東港区に停泊することが望ましい。釧路港長期構想に基づき、旅客船の大型化や需要を見極め、中央ふ頭西側の活用を検討していく。現在誘致活動をしているフェリーの就航と併せて関係行政機関と連携し検討していきたい」と意欲を見せている。鶴間秀典氏(市政進)が旅客船専用岸壁について一般質問した。

 現在、大型旅客船は、喫水8・1mまで、7万㌧級程度が東港区中央ふ頭東側の耐震旅客船ターミナル、それ以上の大型旅客船は西港区第4ふ頭の東側岸壁をそれぞれ利用している。

 2011年に供用開始した耐震旅客船ターミナルは、飛鳥Ⅱ(5万142㌧)など国内最大級の旅客船を受け入れ可能で、釧路港初の耐震強化岸壁(延長310m、水深マイナス9m)として釧路開建が整備。周辺の観光交流施設と一体的なにぎわい空間を演出し、被災時には、臨海部防災拠点として円滑な災害復旧を推進することを目的に事業を進めた。岸壁、泊地、道路、用地整備などで110億円を投じている。

 ところが、外国旅客船の受け入れ増や大型化で、マイナス9m岸壁で対応できない旅客船が増加。7万㌧級以上の大型旅客船の停泊は、マイナス10mとマイナス12mの西港区第4ふ頭東側岸壁を利用している。この岸壁は通常、貨物船が利用しているため、往来する船舶で混雑するほか、市街地まで遠く旅行客はシャトルバスなどを利用して移動している。

 大型旅客船は13年度が7隻(東港区5隻、西港区2隻)、14年度が24隻(同10隻、同14隻)、15年度が8隻(同5隻、同3隻)の実績。16年度は東港区8隻、西港区6隻の停泊を見込んでいる。国の20年に訪日クルーズ旅客を500万人とする目標との相乗効果で、今後、釧路港の停泊も膨らむ見通しだ。

 また、フェリー就航については1999年以来の復活を目指し、釧路港利用整備促進協議会(会長・蝦名市長)が15年度に釧路港フェリー誘致対策特別専門部会を設置し、誘致に動いている背景もある。

 市が11年度に策定した釧路港長期構想では、将来的に東港区中央ふ頭の西側岸壁を大型の外航クルーズ船の利活用として位置付けている。併せて国際会議、展示会・見本市などの誘致、老朽化した上屋・倉庫群の再開発を描いている。

 東港区中央ふ頭の西側岸壁は、延長339m区間が水深マイナス9m、延長180m区間は水深マイナス10mで、現在、不荷役船や貨物船が利用。市港湾計画課では「整備についてはまだ真っ白な状態。本格的な議論はこれからになる」と話している。


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