松本純防災担当相は11日、7、11、9、10号の4つの台風を一連の災害と捉え、ひとまとめにして激甚災害指定する姿勢を示した。公共土木施設は、北海道分のみだと指定基準に達していなく、他都府県でどの程度上積みされるかが焦点。ただ、与党が7日に激甚災害の指定を政府に求めるなど、「指定は政治の判断が大きい」(道幹部)とみられるため、基準を満たさなくても指定される可能性はある。
松本防災担当相は11日、岩手県の達増拓也知事と会談。「台風7、11、9、10号の4つを一連の災害として指定する方向だ」と述べ、4つの台風をまとめて早急に指定する考えを示した。
激甚災害制度は大規模災害で被災した自治体の財政負担を軽減する制度。指定されると、災害復旧事業の国庫補助率が1―2割かさ上げされる。
4つの台風で被災した公共土木施設のうち、災害復旧事業に該当する施設の被害額は、7日時点判明分で道と市町村を合わせ731億円。北海道開発局は約750億円とみられ、直轄と補助を合わせた道内全体は約1500億円に上る見込み。
激甚災害の一つである「本激」は、被害額に過去5カ年の全国平均査定率を乗じて算出した全国査定見込み額が、基準を上回っていれば指定になる。4月の熊本地震では、被害額の速報値が3244億円、査定見込み額が2806億円で、被害額に対する査定見込み額の割合は86.5%だった。道路や河川など事業ごとに査定率は異なるが、この86.5%を今回の被害額に当てはめると、道内分の査定見込み額は約1298億円になる。
熊本地震では全国査定見込み額1785億円以上が指定の基準で、残る約487億円を他都府県で上積みできるかが焦点になるが、道幹部は「超えられなくても、最後は政治判断になる」と話し、松本防災担当相の発言を前向きに受け止める。
ただ、激甚災害に指定されても国庫補助率がかさ上げになる特定地方公共団体に全ての被災自治体がなるわけではない。
激甚災害の指定を受けた災害の査定事業費の地方負担額が、都道府県は標準税収入の10%、市町村は5%を超えることが特定地方公共団体の判定基準。道の場合、標準税収入は約6360億円で、10%分は約636億円。これを事業費に換算すると、直轄工事と道工事で合わせて約3180億円が必要になり、被害額とは開きがあるため、道が特定地方公共団体になるのは難しいとみられる。