橋脚再建などに3カ月-JR北海道が被災箇所の復旧見込み発表

2016年09月14日 19時13分

 JR北海道は14日、一連の台風による道内路線被災箇所の復旧見込みを発表した。橋梁3橋が流失するなどの被害を受けた石勝線・根室線トマム―芽室間については、河川使用が認められ、重機のアプローチ道路確保や今後の台風による工事中止がなければ、同社だけで完結する橋脚再建などの復旧を3カ月程度を目標に進める方針だ。運転再開は少なくとも11月末までは困難な状況で12月にずれ込む可能性もある。島田修社長は「当社発足以来、最大の自然災害。復旧費の補助について国などと相談し、物流幹線の早期復旧に全力を挙げて取り組む」と表明した。

 新得駅構内の下新得川橋梁(橋長31m)、新得―十勝清水間の第1佐幌川橋梁(同52m)、十勝清水―平野川信号場間の清水川橋梁(同33m)の3橋流失のほか、土砂流入や護岸崩壊など大きな損壊だけでも12カ所確認されている石勝線・根室線トマム―芽室間は、被災状況の調査を進め、復旧工事に一部着手した。

 河川管理者、砂防管理者が今回の被災を受けて河川改修を行う場合は、改修内容が定まった上で、橋梁や橋台の形状を決める。復旧に使用する橋桁の製作、調達については現在調整中。橋梁の形状が決まり、土木工事が完了した後に信号制御システムなどの整備に進む。

 根室線富良野―新得間は、幾寅―新得間の設備損壊が著しく、山間部でもあることから復旧作業は困難になると予測しており、復旧時期は定まっていない。富良野―幾寅間は既に復旧に着手。東鹿越―新得間は信号システムが壊滅的に損壊しており、復旧が難しい状況であるため、富良野―東鹿越間での10月中の運転再開に向けて土木工事を精力的に進める。

 石北線上川―白滝間はH鋼打設などの護岸工事が順調に進んでおり、応急復旧による運転再開予定を10月中旬から同上旬に繰り上げた。

 日高線は苫小牧―鵡川間で損傷したケーブルの復旧作業を進めており、復旧後、試験や試運転などを行い、今週末の運転再開を目指す。鵡川―様似間はJR日高線沿線自治体協議会で引き続き、持続的に維持するための仕組みの構築について協議する。

 釧網線は線路冠水、河川増水のため運転を見合わせていた塘路―茅沼間で14日から運転を再開。摩周―知床斜里間は16日午後2時ごろからの再開に向けて準備を進めている。

 14日の会見で島田社長は復旧費用について「橋梁工事が中心となるが、元通りに直すだけで良いのか、防災強度を高めるためには増強や強靱(きょうじん)化も必要となり、工法も変わってくるので現段階では示せない」とした。さらに「12月末まで運休が続けば40億円の減収が見込まれ、当社の経営に与える影響は大きい。一日も早く復旧し、止血を行うことが必要となる」との認識を示した。


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