政府は16日、河川の氾濫や道路の決壊など甚大な被害をもたらした台風10号など4つの台風について、一括して激甚災害に指定することを閣議決定した。公共土木施設と農地等は本激で、全国を対象にこれらの災害復旧事業に対する国庫補助率をかさ上げする。道内の災害復旧事業査定見込み額は公共土木施設と農地等を合わせ14日時点で1740億円に上り、本道の被害が最も大きかった。国が被災自治体を財政支援する激甚災害の指定が決まったことで、復旧工事が今後本格始動する。
内閣府は7、11、9、10号の4つの台風による8月16日から9月1日までの暴風雨と豪雨の災害を激甚災害に指定する政令を23日に公布・施行する。4つ以上の台風を一括指定するのは、5つの台風を指定した1998年以来。
都道府県報告の被害額を基にした災害復旧事業の全国査定見込み額は、14日時点で公共土木施設が2332億円(うち道内1669億円)、農地等が126億円(同71億円)。公共土木施設は本激A基準、農地等は本激B基準を満たした。
指定により、災害復旧事業の国庫補助率が、公共土木施設は過去5カ年実績平均の70%から84%、農地等は82%から95%にそれぞれかさ上げになる。農業協同組合や水産業協同組合などが所有する共同利用施設の災害復旧事業は、通常20%のところ最高で90%にアップする。
本激ではこのほか、公立社会教育施設と私立学校施設の災害復旧事業に国が補助するなど計7つの措置を適用する。
中小企業関係は、全国の被害額が本激の基準を満たさなかったため、基準を上回った南富良野町など全国4市町に対象地域を限定する局激に指定。中小企業信用保険法による災害関係保証の特例として、被災した中小企業に対し、中小企業信用保険の保険限度額の別枠化や、てん補率の引き上げ、保険料率引き下げの特例措置を講じる。南富良野町の中小企業関係被害額は12億9000万円だった。
松本純防災担当相は閣議後の記者会見で「被災地の方は大変苦しんでいるので、そこに対応する激甚指定は大変重要。早期に決着できてよかった」と述べた。
高橋はるみ知事は16日の第3回定例道議会代表質問で、議会会期中に追加提案する災害対策の補正予算案について、河川、道路、農業用施設など「公共施設の復旧」や「産業被害からの再生」、被災者の生活立て直しに向けた「地域の再建」といった観点で早急にまとめると答えた。