函館市は、函館港若松地区でのクルーズ船受け入れ環境整備について、青函連絡船記念館摩周丸の沖側にあるドルフィン2基を活用し、延長360mの専用岸壁を造る構想を示した。国への要望とともに、港湾計画の変更へ向け準備中。12万㌧級に対応した水深10mとし、その場合の浚渫土は50万m³程度に上る見通し。
20日、第3回定例市議会の一般質問で金沢浩幸氏(市政クラブ)、阿部善一氏(民主・市民ネット)への答弁で、国安秀範港湾空港部長が答えた。26日に開く函館港地方港湾審議会で、軽易な変更として議題に上げる。
ドルフィンは1991年に摩周丸を公開した当時、船体を挟むように沖側に2基設置されたもの。これを改良し、現岸壁と平行して専用岸壁を設ける。同岸壁の先端と人工島の緑の島とは約200mの距離が空く。
利用客が安全に移動できる動線や広場の整備なども必要になりそう。泊地面積は29ha程度で、周囲は水深8、9mのため1、2mの浚渫が必要になる。これに伴い、浚渫土は50万m³程度に上るとみられる。
函館港は2016年度に29隻のクルーズ客船が入港予定で15年度の15隻を上回り、増加傾向にある。クルーズ需要の高まりから政府も21世紀型のインフラ整備を柱の一つに掲げており、既存施設の改良という位置付けで、市は予算獲得を狙う。
採択後は直轄事業として調査測量に着手し、施設を優先整備する見通し。事業効果の早期発現のため、暫定的に4万㌧級を受け入れながら、航路・泊地の浚渫を進めることになりそうだ。