札幌市下水道河川局は、下水道老朽管更新への対応拡大に向け、パイプインパイプ(PIP)工法の改良を検討している。10月中旬にも南区の現場で実証施工に着手。施工性や課題などを確認し、今後の発注を見据えて歩掛かり案などを精査する。結果が良好な場合は、来年度以降に条件の合う現場で採用していきたい考えだ。
同工法は、既設管路内に新たな管路を設置する老朽管の更新方法。道路などを掘り返さずに施工できるメリットがある半面、新管を接続しながら送り込むため、継ぎ手部分の膨らみなどを考慮すると、既設管よりも管径を縮小せざるを得ないというデメリットも。
管径を縮小すれば規定の流量が確保できなくなってしまうことから、これまで市の下水道管更新事業では、縮径しても問題がなかった中央区、手稲区の各1現場で実施したにとどまっている。いずれも既設管より500㍉以上の縮径となった。
しかし、老朽管更新工法のうち管更生工法のような特別な技術や資格、機材などを必要とせず、多くの土木工事業者が手掛けることができる。同局は、今後増大する老朽管更新工事への対応力強化に向け、2015年度に同工法の改良検討に取り掛かった。
業務は積水化学工業に委託。継ぎ手部分をSUSカラー、ホースバンド、内面接着の3タイプで検討した結果、SUSカラーが段差のフラット化や、管更生と同程度の縮径にとどめる施工が可能なほか、既設管のゆがみにもある程度対応できるとして採用を決めた。
また、模擬管路施工も行い、既設管300㍉に対し250㍉、500㍉に対し450㍉の新管を実際に挿入。しかし、既設管と新管の間にできたわずかな隙間を埋める裏込め部の充填(じゅうてん)方法や、取り付け管と継ぎ手部分を接続できないなど接合部処理に関する課題も見つかっている。
16年度は、真駒内曙町4丁目での実証施工などを含む検討業務を積水化学北海道に委託。延長約44mにわたり、管径500㍉の既設管内に450㍉の塩ビ管を布設しながら、施工性や課題などを確認する。