札幌市は6日、2026年招致を目指す冬季五輪・パラリンピックの開催概要計画を公表した。4月にまとめた計画案に修正を加えたもので、新たに札幌ドーム周辺を候補地とする冬季版総合ナショナルトレーニングセンター(NTC)誘致や、同施設を含めた関連施設整備で道産材を積極的に使用することなどを追加した。10月末にも日本オリンピック委員会(JOC)へ提出する方針。関連してこれとは別に、NTCを中核とするドーム周辺のスポーツパーク構想も今後策定し、17年度にスポーツ庁へ提出する考えだ。
同日の市議会冬季五輪招致・スポーツ振興調査特別委員会に示したもの。計画案にはこれまで495件の意見が寄せられ、道との協議を経て21項目を修正した。
主な修正・追加点を見ると、大会名称は「2026年北海道・札幌オリンピック・パラリンピック冬季競技大会」へ変更。オール北海道色を打ち出した。
開催経費については、民間資本の積極活用や民間が参入しやすい計画づくりを推進。リュージュやジャンプなど国内に数カ所しかない競技施設は国立施設として整備するよう国と協議し、経費縮減を図ることも明記している。
冬季競技のトレーニング環境を充実させる一環で誘致するNTCは、大会終了後に選手村を転用する宿泊施設などとともに構成する、野球やサッカーなどの夏季競技とも連動した選手育成が可能なスポーツパークの核施設として構想。市はドーム周辺を、第2次都市計画マスタープランで高次機能交流拠点と位置付けていることもあり、まちづくり推進の観点から、16年度中にはスポーツパーク構想素案をまとめ、競技団体やアスリートと共に17年度から要望活動を展開する考えだ。
施設整備コンセプトは、整備計画段階から競技者の視点を取り入れることとし、国際パラリンピック委員会(IPC)の基準を踏まえ、スロープやエレベーターを設置。会場にアクセスする交通機関や駅なども、障害の有無にかかわらず誰もが利用しやすい形を目指す。関連施設整備に当たっては道産材料を積極活用し、道内の林業、製造業の活性化にも寄与することを追加した。
招致スケジュールは、開催概要計画書提出後、JOCが大会立候補の可否を12月までに判断。これを受けて市は立候補ファイルの作成調査に着手する。ファイルは大会コンセプト、施設計画、大会運営の3つのステージに分け、18―19年にかけて提出。一方、IOCによる2026プロセスは12月にも公表される見通しで、開催都市決定は19年が予定されている。
道立真駒内屋外競技場を建て替える場合と、帯広市の明治北海道十勝オーバルを活用する場合の2パターンで整理した開催経費は、札幌案4052億円、帯広案3841億円で変わっていない。