興部町のバイオマスガスプラントが近く完成-年間5500万円売電

2016年10月24日 19時13分

 興部町が建設中の集中型バイオガスプラントが10月末に完成する。ふん尿処理など農業基盤の改善を目的とし、町主導で6戸の酪農家と共に進めてきた。成牛560頭に相当するふん尿37・89㌧を一日で処理し、年間60万m³発生するガスで発電し売電する計画。バイオマス産業都市として11月1日から本格スタートとなる。

 町は2000年3月に新エネルギービジョンを策定。11年3月にはバイオマスタウン構想を策定し、14年3月にバイオマス産業都市に認定。翌15年5月に地域バイオマス産業化整備事業に採択され、同6月にバイオガスプラント建設に着手した。

 同事業を指揮する興部町バイオガスプラント建設整備推進室の推名徹室長は「すぐに事業展開したかったが建設費との収支バランスが見込めなかった」と二の足を踏んでいたのだと振り返る。

 町は大きく興部北興、宇津、秋里、豊野、沙留の5地区に分れるが、それぞれの沢沿いには全体で約80戸の酪農家が点在。興部北興は農家が集約していて集中型プラント建設に適していると判断し、同地区の15戸の農家から参加を募り、6戸が事業への参加を決めた。

 町は酪農専業地帯で、家畜ふん尿の処理が大きな課題だ。生のふん尿を畑にまくと雑草が増え、牧草の生育状況が悪化するなどの問題がある。「エネルギー確保よりは農業基盤を固めることが先決だった」と椎名室長。

 ふん尿をメタン発酵することで、臭いの少ない消化液をつくることができ、また発酵過程で高温になることで雑草の種子を軽減できる。参加を決めた農家の一人は「雑草が増えるとその処理にもコストがかかる。土壌改良すれば牧草と牛に良い影響がある。それが生産に結び付く」と期待する。

 戻し堆肥の敷料への利用も特徴で、これは発酵後の消化液に残る繊維分を脱水処理して敷料をつくるというもの。衛生的な敷料を参加農家が買うことで「農家にとっては安いコストでそれに代替するものが出来上がる」と椎名室長は言う。

 バイオガスプラントは町の所有となるが、管理は参加農家主体の利用組合に委託費を払い一任する。ガスは参加農家主体の売電会社オコッペバイオエナジーに売り、同社が固定価格買い取り制度(FIT)を利用し北電に売電する。年間130万キロリットルの発電で売電額は年間5500万円を見込む。

 町は設計・施工を技術提案型総合評価方式で公募。岩田地崎建設・コーンズアンドカンパニーリミテッド・藤共工業共同体が5億7410万円で落札していた。


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