北海道生コンクリート工業組合のまとめによると、2016年度上半期(4―9月)の道内生コン出荷実績は前年度比4.4%増の188万2000m³で、過去最低の実績だった15年度をわずかに上回る結果となった。今後、8月の台風災害の復旧工事での需要が予測されるが、被害の大きかった道東では通常工事が先延ばしになるケースも目立っている。
官公需は0.4%減の70万3000m³、民需は7.5%増の117万9000m³で、民間設備投資が需要をけん引する「民高官低」の状況が続く。官民合わせた出荷量は前年同期を上回ったが、好調だった14年度実績は210万2000m³であったことから、依然として低水準で推移しているといえる。
最大市場の札幌は4.5%増の57万6000m³。札幌市中心部の創世1・1・1区や石狩湾新港の発電所とLNG基地建設がけん引する状況は変わっていない。
そのほか道央地域では、北広島市内の石屋製菓の新工場建設などがあった千歳地区が20%増の8万3000m³と伸びが目立つ。
道南では、南北海道が災害復旧などで24.7%伸び7万7000m³。函館は新函館北斗駅前ホテル新築のほか、再開発案件の函館本町地区優良建築物等整備などが好材料となり民需が4割近く増えた。
十勝地区は18.8%増の10万6000m³と堅調だ。中札内農協枝豆冷凍設備などTPP対策補正によるJA物件も多く、明治乳業芽室工場など食関連の投資も活発。需要が全体で3万5000m³を超える大型物件の帯広厚生病院移転新築も動き始めた。
8月の台風被害に伴い復旧工事が優先され、通常工事が後回しになるなど需要動向は「後半にかけてめまぐるしく変化している」(十勝地方生コン協組)が、年度通期では前年度を上回る出荷となる見通し。
富良野地区は1・7倍の6万1000m³。北の峰トンネル工事が覆工の最終段階に入り、東郷ダム改修の出荷も本格化したことで官需が1・9倍に膨らんだ。
北見地区はホテルルートイングランド北見駅前の着工、牛舎など農業関連施設といった民需が支えになり、上半期出荷は6.2%増の7万1000m³。8月の台風災では常呂川で河川が決壊し、復旧でブロック製品需要が生まれているが「生コン需要がどの程度になるかの把握はこれから」(北見地方生コン協組)だ。
旭川地区は本格出荷を想定していた旭川医療センター主体も発注遅れからずれ込みが生じるなど大口が振るわず、住宅小口を中心にした民需の下支えで1.7%減の6万4000m³で半期を折り返した。台風被害の河川復旧で通常工事が先延ばしされ、計画していた出荷が先送りになるといった影響もあり、先行きは不透明。
釧路地区は、釧路外環状道路の整備で構造物建設のピークが過ぎ、官需の落ち込みから9%減の7万m³に。新釧路道銀ビル新築、一部民間建築のリニューアルなど民間向けの出荷が全体量を支えている。