苫小牧市と石油資源開発(本社・東京)は、共同で地産地消型エネルギーネットワークの可能性調査に取り掛かった。同社が市内で採掘している天然ガスを用い、エリア単位で電気、熱を供給できる体制を構築できないかを探るもの。今回の調査は2016年度単年度で進め、採算性や導入に当たっての課題などを整理する。
東日本大震災以降、電力供給のもろさが顕在化。市内には国内最大級の天然ガス田があり、ガスから電力と熱を生み出すコージェネレーションも技術的に確立されていることから、これらの活用による低廉なエネルギー供給を通じて企業の生産活動安定化を図るため、調査に取り組むことにした。業務はパシフィックコンサルタンツに委託している。
この調査では、既存の天然ガスパイプラインが通っている真砂町の食品・飼料団地をモデル地域とし、ガスの供給可能量や需要量、事業の採算性、課題などを探る。ある程度のロードマップも示される見通し。
4日には市と同社のほか、苫小牧高専、苫小牧信用金庫、苫小牧ガス、苫小牧商工会議所、苫小牧港開発による検討委員会を発足し、そこでの意見を調査に反映させる体制も整えた。
市の地域新エネルギービジョンでは、天然ガスはコージェネや燃料電池を用いることで、公共施設や商業施設、住宅への電熱供給など高度利用の可能性が高いと指摘。エネルギーを段階ごとに、複数利用する「仮称・エネルギーカスケード利用産業団地構想」の必要性も挙げている。
所管する市の企業立地推進室では「この調査は、カスケード利用団地の実現に向けた取り組みの一つでもある」と話していることから、今後の展開が注目される。