函館市が縄文集落・垣ノ島遺跡の保存計画まとめる-17年度にも着工

2016年11月15日 19時24分

 函館市教育委員会は、縄文時代の拠点集落の一つである史跡・垣ノ島遺跡(臼尻町、9・3ha)の保存整備基本計画をまとめた。地形の復元や植生管理のほか、遺跡内を散策するための園路や広場などを整備する方針。2017年度にも着工し、20年度の公開を目指す。事業費は概算で4億5000万円を見込んでいる。

 14日、南茅部地区で開かれた保存整備検討委員会(委員長・小杉康北大大学院教授)の初会合で示したもの。祭祀(さいし)、儀礼などに使われたと思われるコの字状の盛り土遺構を復元し、竪穴建物群のくぼみ周辺を散策できるようにする。

 ゲートは管理用を含め3カ所確保する。縄文文化交流センターがある278号尾札部道路側にエントランスを設置。市道に面して整備する多目的スペースには管理棟を新築する。そのほかは「体験・広場」「竪穴建物群」「盛り土遺構」としてゾーニングし、それぞれを園路で結ぶ。

 エントランスには遺跡全体の案内板や模型、標石を置く。広場は盛り土と張り芝を施し、資材収納のための倉庫群は縄文の風景を想起する仕様を検討。延べ数十m²規模の管理棟、あずまや、ベンチ・スツールには間伐材の利用も考える。

 長さ190m、幅120m、高さ2mで、国内最大規模の盛り土遺構は、旧地形を復元した上で盛り土による遺構の保護と芝張りを図り、スケールを体感できる空間にする考え。将来的には遺跡内を見渡せるような施設整備も視野に入れる。竪穴建物群では縄文の森を再現するため植栽・伐採を進め、チップ舗装などで園路を敷設する。

 見学動線には照明灯やサインのほか、ポイントごとに説明板や案内表示を設置。植林された針葉樹は伐採、原生の樹木は生かしつつ、広葉樹などの成木や苗木を効果的に植栽し、往時の植生復元を図る。

 基本設計はこれから着手して年度内にまとめ、17年度から工事に取り掛かる方針。伐採や火山灰除去などの造成を先行し、18、19年度に遺構や体験・広場、園路、施設などを整備するスケジュールを描いている。


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