北海道開発局は1日、社会資本整備審議会道路分科会の北海道地方小委員会(委員長・田村亨北大大学院教授)を札幌市内で開き、北海道横断自動車道網走線端野―高野間の計画段階評価を開始した。整備予定区間と並行する現道39号の課題として物流、観光、医療の3分野に注目して住民や観光客へのアンケートを実施することを決めた。開発局は今後、寄せられた意見を踏まえて概略ルートや構造などを検討する。
北見市周辺の高規格幹線道路は、美幌バイパス(7・9㌔)が2005年度、十勝オホーツク自動車道(22・3㌔)が12年度から15年度にかけて開通してきたが、十勝オホーツク自動車道北見東IC―美幌バイパス高野交差点間の約22㌔は未整備のままになっている。計画段階評価は、この区間の事業化に向けた議論を進める。
この日の会合では、道路計画課が現在の道路網が抱える課題を提示した。
物流面では大型車の重大事故が多く、特に冬季に事故が発生していること、農水産物を運搬する上で輸送効率が高い道路が求められると説明。観光の分野では、北見市と網走市が高規格幹線道路で接続されておらず、周遊性の向上が課題とした。
医療に関しては、オホーツク圏唯一の3次医療施設がある北見市への救急搬送時間の短縮と安定走行が求められるとの認識を示した。
これらの課題に対して、今回新たに委員に就任した前札幌医大学長の島本和明日本医療大総長は「網走市から北見市への3次医療施設のアクセスが向上する。また北見で手術できない患者は航空機で札幌に搬送するが、この道路が整備されると北見市から女満別空港まで直結する」として地域医療に大きな効果があると指摘した。
平岡祥孝札幌大谷大教授は8月の大雨災害で鉄道は多くの区間が不通となった一方、バスが道内の都市間交通を補完したことに関して「災害時に高速バスが鉄道を代替したことを強調し、高速道路の必要性を示した方がいいのではないか」と提案した。
開発局は今後、地域の現状の課題と整備の必要性について地域住民や観光客へのアンケート、沿道自治体や関係団体にヒアリングをする予定。結果を踏まえた複数の整備案を次回以降の会合に提示する考えだ。