北洋銀行は5日、2017年度の道内経済見通しを発表した。台風の復旧工事など公共投資が本格化することや、外国人観光客の増加を受け、観光関連の設備投資が増えるとの判断から、実質で0.7%のプラス成長を予測している。16年度についても、雇用・所得の改善で個人消費が持ち直し、低金利の後押しで住宅投資も好調なことから、当初見通しを0.2ポイント上回る0.8%に上方修正した。
物価変動の影響を含む名目は17年度が1%、16年度は、物価が上昇しなかったことなどを理由に当初予測と変わらず0・9のそれぞれプラス成長見込んだ。道内総生産は16年度を1853億円上回る18兆9219億円になるとみている。
17年度道内経済について北洋銀は、人手不足感が高まる中で、賃上げなどによる所得、雇用環境の改善が広まっている一方で、物価上昇率は低位にとどまるとの見込みから、個人消費は持ち直し基調が続くと予測。こうした判断から実質0.2%、名目0.5%にそれぞれプラス成長するとした。
住宅投資は、相続対策を目的とした貸家への投資が前年よりも伸び幅が縮小するとみるものの、引き続き好調を維持すると予測。持ち家、分譲、戸建ても所得環境の改善と金利低下を背景に前年並みの水準になるとみられ、実質で0.5%、名目で1%成長すると判断した。
設備投資は、道外や外国人からの観光客増に対応するためホテルの新築・改装が相次ぐほか、再生可能エネルギーを活用した発電施設や、店舗拡大を目的とした物流センターなど低金利を理由とする大型投資が見込まれ、実質で0.2%、名目で0.4%成長すると分析する。
公共投資は、16年度2次補正予算による大型経済対策の効果が本格化し、景気を下支えすると分析。北海道新幹線札幌延伸工事の発注増加も見込まれることなどから、前年度に引き続き高水準を維持するとみる。このため、実質が3.7%、名目が4.1%とプラス成長を見込んだ。
調査をした北海道二十一世紀総合研究所は、公共投資と観光が道内経済をけん引している状況にあると強調。「公共工事に携わる建設業だけにとどまらず、関連企業も景気を高めてくるのではないか」と話した。