札幌市は13日、合宿や長期滞在に対応できる宿泊施設、スポーツ医科学の機能を取り入れて冬季版総合ナショナルトレーニングセンター(NTC)を整備するとの構想を明らかにした。説明を受けた冬季オリンピック・パラリンピック競技団体連絡会議アスリート部会の阿部雅司部会長は、統括意見として「競技団体と連携を取りながら、できるだけ早い段階でスポーツ庁に要望をしたい」と応じた。市は次回の部会で具体的な素案を示す考えだ。
札幌市は道内や札幌の競技団体、アスリートなどへのヒアリングを通じて浮かび上がった課題を解消する環境改善として、冬季版総合NTC整備が最適と位置付けた。
改善の方向性としてはスポーツ医科学を取り入れたトレーニングができる専用練習施設、さまざまな合宿や長期滞在に対応できる宿泊施設、競技横断的な交流や連携が可能な環境、ジュニア育成環境、障害者アスリートの利用、用具の開発・修理環境確保を挙げた。
川端絵美委員は「アルペンは民間施設でしか練習できない。占有して滑れる場所が国立で欲しい」と要望。出口弘之委員は「強い国は必ずNTCを持っている。夏の練習をどれだけカバーできるかも重要。海外には氷河があり、通年スキーができる」と話し、阿部部会長も「(内部に雪を敷き詰め、夏も練習できる)スキートンネルなどがあれば、冬季スポーツの強化につながる」と同調した。
このほか、冬季競技の研究施設拠点が東京にあるため「道内の選手が道外に出てしまって帰ってこない。結果的にスケートで道内高校生のメダル獲得率が下がっている」と競技レベルの低下を懸念する声もあった。
市は、夏季競技のトレーニング施設を中心とする味の素NTC、医科学施設などを中心とする国立スポーツ科学センターのほか、道内にある各競技別強化拠点とも連携する拠点として整備することで、競技レベルの向上や競技人口の拡大を狙う。