札幌市が実施件数を増やしている総合評価方式のうち、市長部局発注工事の22.7%でくじ引きが発生していることが分かった。前年度の発生率は11.1%だったため、10ポイント以上増えている。財政局はこの事態を受けて、総合評価方式でのくじ引き発生率を低下させるため、次回の入札・契約等審議委員会で対策案を示す考えだ。
15日の同審議委員会(委員長・高野伸栄北大大学院教授)で明らかにしたもの。
市はくじ引き抑制効果のほか、品質確保などにも効果があるとして総合評価方式の拡大を推進。2012―14年度には一般競争中2―3%(25―28件程度)だった総合評価実施件数を、15年度は63件、率にして6.5%まで拡大した。16年度は10月末時点で12.1%に当たる97件を執行している。
この日抽出した総合評価案件のうち、人材育成型では入札参加者のほとんどで新規学卒者や女性技術者を継続雇用しており、人材育成に力を入れる企業の受注機会確保につながっているなど、制度趣旨に沿った成果が見られた。
一方、評価項目を簡素化した型式について同局の担当者は「評価項目をシンプルにしたことで、満点近い点数を取る企業が多かったり、1点程度の違いしか出なかったりする。入札額も調査基準価格と同額になることが多い」と発生率増加の要因を伝えた。
地域貢献Ⅱ型では、技術資料を提出した参加者5者のうち、落札者を含む3者が14―14・5点を獲得し、このうち2者が調査基準価格で応札。
一括審査Ⅱ型では、評価項目で参加者中最高点を獲得しても、各企業の点数差が小さいため、調査基準価格に張り付いての競争となっていることを確認した。
委員らは、施工実績をより細かく見ることで差を付けることができないかなどと提案した。