8月の大雨被害を受けて北海道開発局などが設置した水防災対策検討委員会(委員長・山田正中央大理工学部教授)は27日、2回目の会合を札幌市内で開き、これからの治水についての考え方をまとめた。気候変動を将来のリスク変化とし、既設ダムの再開発や遊水地整備などのハード対策を各河川で検討すべきとの取り組み方針を了承。2017年2月の会合で委員会報告をまとめ、今後、開発局などが行う河川整備計画の見直しに反映させる。
委員会報告の骨子では、今後の水防災対策の在り方について、気候変動を考慮した治水計画を検討すべきと提起。今後の気候変動に対処できるよう手戻りのない抜本的な治水対策を求めている。特に、洪水対策が遅れている支川や上流部の安全度を向上させる必要があるとした。
その上で、既設ダムの再開発や遊水地を整備することで下流に負荷をかけずに支川や上流域の安全度を向上させるなどの具体案が示された。また、既存施設の有効活用も盛り込まれ、ダムの放流施設の改良、堤防の強化策も併せて行う必要を指摘している。
8月の大雨では、設計上堤防が耐えられる水位の上限となる計画高水位を超過した河川が複数あった。こうしたことから治水施設の能力を超えるような洪水への対応の考え方も示した。
市街地部などにある重要施設については、堤防天端まで水位が上昇することを想定し、堤防を保護する対策工や氾濫しても被害を最小限にするための施設整備を盛り込んでいる。
取りまとめた骨子は今後、開発局や道が行う河川整備計画の見直しの基本的な考え方となる。気候変動を予測した上で、想定される水害リスクを検証し、必要なハード対策、ソフト対策を検討。対策の実現に向け、最適な治水計画を再構築するとしている。
山田委員長は「治水の方向性や考え方を提示し、来年度以降、この方針を踏まえて本格的な(治水計画の)検討や総合的な調整が行われると思う」との見通しを示した。