道主催の北海道航空宇宙セミナーが18日、帯広市内のとかちプラザで開かれた。地元自治体の関係者や民間企業など約230人が参加。研究機関や民間企業がそれぞれの立場から、本道における航空宇宙産業を展望した。
昨年11月、民間の衛星打ち上げを許可制とする宇宙活動法と、衛星画像の利用・管理を規制する衛星リモートセンシング法が成立。道内では、国が整備を検討するロケットなどの新たな射場で大樹町が有力候補に挙がっている。
冒頭のあいさつで梶田敏博十勝総合局長は「日本の宇宙開発が新たな段階に入った。競争力の高い産業として、北海道の、そして十勝のリーディング産業として、宇宙ビジネスを育てる取り組みを進めたい」と強調した。
道の三橋剛産業振興課長は、民間企業を対象とした航空宇宙産業参入可能性調査の結果を報告。回答した道内の未参入企業のうち4割が、参入への意向や関心を寄せていると説明した。
講演では、大樹町で超小型衛星・ロケットの開発を進めるインターステラテクノロジズの稲川貴大社長が、観測ロケットの初号機を2017年に打ち上げる方針を表明。宇宙活動法により、ロケット打ち上げ射場に国の許認可が必要となったことにも触れ、「大樹町も早い段階から許認可へのアピールが必要」と助言した。
宇宙航空研究開発機構(JAXA)から衛星開発を受託するアクセルスペースの中村友哉社長は、衛星から得られるデータによる経済動向把握や災害監視への利用を紹介。17年に3基、20年までに50基の衛星を打ち上げる計画を示し、「全世界を毎日観測できる体制を整えたい」と構想を披露した。
パネル討論では、北大大学院の有識者らも交え、本道でのリモートセンシングや宇宙関連2法を巡って意見を交わした。